18. 欺瞞の顔
そこにひとつの顔が見える
欺瞞の顔 何かを画策する顔 自分を騙し その結果として他人を騙す顔
その顔がもうひとつ そしてもうひとつ いたずらに増えていく
欺瞞の顔は結束によって力を増し 生あるものを圧倒する
欺瞞こそが彼らの唯一の道徳だ
ががががが ぐぐぐぐぐ ぎぎぎぎぎ と機構が鳴る
手管を弄すれば弄するほど 欺瞞に身を任せれば任せるほど
その機構は速さを増し 生産力は向上し 評価は高まり
未来は幸福と栄光に包まれて 確実なものとして出現する
しかしそれもまた 欺瞞を目的として 欺瞞のために!
人を欺くのは人を欺くためであり
人を欺くために人を欺くのは それすら人を欺くためである
悪意に満ちた機械人間ですら これほど無邪気な邪悪さは持てない
そしてその欺瞞のための欺瞞に もっともらしい宣伝文句をつけてみせる
例えば (卑近な例を持ち出すならば)
それはひとつ 利益のためであること
それはひとつ 仕事のためであること
それはひとつ 会社のためであること
(会社は仕事に先立ち 仕事は利益に先立つ これは重要な差異認識だ)
それはひとつ 社会通念のためであること
それはひとつ 公共のためであること
それはひとつ 有無を言わさぬ確実さのためであること
それはひとつ 完全性のためであること
しかしそれらはすべておためごかしだ 中身のない言い繕いだ
すべての人間が欺瞞に身を染めるのは 欺瞞が他ならぬ
密かな快楽の種になっているからだ
そして自分でもそれには気づいていないんだ
かつてこれほどまでにおぞましい顔を見たことがあるか、君は!
この欺瞞の顔がおぞましければおぞましいほど
気味の悪い快楽の泉が深ければ深いほど
彼らは安楽としたベッドの中で まるで死に際のように穏やかに
眠りをむさぼることができるだろう
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