15. 幕間に

さてここで一休みだ 力を蓄えよう

とりとめもない会話 心安らぐ一時を過ごそう

しかしまだ私の神経は緩んでなどいない

私はどこまでも続く、めくるめく詩を紡ぎ上げることができる

眼前の空気のひとつかみにさえ、一篇の詩の材を得ることができる


私が次に書こうとする詩、めくるめく詩の端緒が

この澄み切った視界に一点の紅墨を落としている

そうだ 私は音楽のような詩を書こう 絵画のような詩を書こう

織物のような詩を うち捨てられた他愛もない玩具のような詩を書こう


発想は巡る 一本道 それでいて無限に分岐した道を進む 進む

哲学のような詩を書こう そして 論理学のような詩 倫理学のような詩を

数学的な詩 天文学的な詩 動物学的な詩 そうだその調子

言語学的な詩 地理学的な詩 精神分析的な詩 もっと範囲を広げて

工学的な詩 経済学的な詩 医学的な詩 そこには無限の詩情もあろう

解剖学的詩情 ほお 寄生虫学的詩情 へへえ

金属的詩情 磁力的詩情 量子論的詩情

株価の上がり下がりにあわせて これまた上がり下がりする詩情


すべてが自由であるからして すべてが愉快だ

幕間ももうそろそろお終いだから さあここはひとつ

イロハニホヘト から始めよう



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