4. 宙づりにされた感性

私は規格化された感性しか持ち合わせてはいない

粉末化された感性 液体化された感性が

プラスチックのパイプの中に 端から順に流し込まれる


そのプラスチックのパイプが 赤色をしているか 青色をしているか

緑色をしているのか 所詮はその程度の違いに過ぎない

何も大層な違いなどありはしないんだ

しかしそれでもつやつやしていてきれいだ

プラスチックなのだから

まあ、安っぽいし 落としたらすぐに壊れてしまうが


宙づりにされた感性は

宙づりにするからにはするなりの理由というものがある

もしその感性とやらが本当に芯を食ったような感性であって

宙づりにされておらず 規格化されておらず

裏ごしも 蒸留も 煮沸消毒もされていない無加工の代物なら

すぐにひっかかれてしまうからだ 首を絞められてしまうからだ

もはや耐えられなくなってしまうからだ

だからこっちのほうが 上手いことやっていくにはちょうどいいんだ

すこしは物わかりのよい態度で試作に励めるというもの

(私の一番の関心は正確な文法と、最も洗練された語彙の選択にある)


しかし私の感性は宙づりになっているものの

何やらおかしなことも頻繁に起こっている

これといった準備も構想もなく詩や小説を書き始めてしまうのは

一体どういうわけだろう

ただ衝動に駆られて、我慢ができなくなって

意味があるかないかもわからないような文章を

いたずらにあてもなく紡いでいくのは


終り方も考えていなかった

金を稼ぎたいわけでもないのに

私は濫作をしている



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