第47話 鳥籠を見る~5~

セレア皇女も無事に学院に最高クラスで入学した。

「セレア皇女ご入学おめでとうございます!!」


「ありがとう!エレノア!!」


セレア皇女本人は自分の成績に自信がない。なんて言っていたが実際はとても賢かったわけだ。

とはいえ、セレア皇女自身は本心で自分の成績に不安を覚えていたので、一度家庭教師みたいなことをやったことがあった。


「すごいですね…」

私はセレア皇女の回答を見てかなり驚いた。それは顔にもしっかり出ていたと思う。


「ありがとうございます!!」

そんな私の顔を見上げて、セレア皇女はにっこりと笑った。


「本当にそう思ってますか?実はわざととかではないですよね、セレア? 私をからかおうとしたわけではなく?」

ちょっと意地悪な表情で冗談を言ってみた。

今この場にはリアナがいなくてよかったとは思ったが…

「それはもちろんですよ!!」

セレア皇女は一気に言い切った。

「でも、自信は持てました!!」

セレア皇女はいたずらっ子のように笑って見せた。


「それならよかったですけど…」


なんとなく負けた気がする!! 何にも負けてないはずなのに負けた気がする!!


「でもこれなら学院の入学試験は一切問題ないですよ。」


「エレノアと同じクラスに入るのに十分なのですよね?」


「一概には言えませんけど多分十分だと思いますよ。」


「わかりました!私もエレノアみたいになれますかね…?」


「セレアは私になりたいんですか?」


「だって、学院でも成績よくて、商会も作って、今は私の教育係もしてくれてるじゃないですか!」


私は別にすごくない…前世の知識に、貴族という名の何をやるにしても有利な立場、極めつけはグレースという滅茶苦茶すぎる特権で私以外のグレースの知識まで自由に閲覧できるだけ… 本当にすごいのは天才なのはお姉さまやセレア皇女の方だ……!!

……今わかった…学院で好成績を収めても、何かもてはやされるようなことを成し遂げても何にも嬉しくなかったのはそういうことだ。

結局自分本来の能力で勝負してるわけでもない、だから、大して努力もいらなかった…本当にドキドキしたのはいつくらいだろうか… ミリアと同じクラスになるために頑張ろうと誓い合ったときはもし失敗したらというドキドキはあった。 あとは…ぞくっと背筋が凍るような気がした。

今私は何を考えようとした?学院で起きた私を含む計4人の暗殺未遂のことを考えようとした。あれはドキドキかもしれないけど、刺激は強かったかもしれないけどあれは違う!!絶対に違う!!あんなことはあるべきじゃない!!あの刺激は悪い刺激嫌悪感を持たなくちゃいけない!!


「エレノア?」

一人で悩みこんだ私をセレア皇女が覗き込んでいた。

「はい。どうかしましたか?セレア。」


「次は何やったらいいのかなって思って…」

私のネガティブオーラを感じ取ったのか、セレア皇女はおどおどとした様子で言った 。

セレア皇女の顔には心配という雰囲気が張り付いていた。


「何しましょう? このテストやったらもうやることないんですよね… せっかくですし、何かボードゲームでもやりますか!」

少しでも気分が明るくなるように言葉の最後を強く言った。


「いいですね!」

セレア皇女はすっと立ち上がるとボードゲームのある棚のところへトタトタと走っていった。

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