41. 小説家さんと誕生日(中編)
41. 小説家さんと誕生日(中編)
オレは真白さんの誕生日なのに何もしてないことを悔やんでいた。普通なら色々な場所とかに連れていってあげたりするべきなんだけどな……。
そんな事を考えているとスマホが鳴る。相手は悠理だ。
「もしもし?どうした?小説を見せるのは週末だよな?」
《うん。そうだけど、早めに教えておいてあげようと思ってさ。晴斗。あなたの掲載枠が通ったわよ!》
「本当か!?」
《ええ。一応、短編の枠で読み切りだけどさ。頑張ったのよ私も》
それは嬉しい知らせだった。まさかこんなにも早く通るとは思ってなかったからな。これでまた一歩前進だ。
《また、これで二人三脚で頑張れるわね。おめでとう晴斗》
「ああ。ありがとな悠理」
《管理人さんにも感謝しなきゃね。》
そうだ。オレがここまで頑張れたのも真白さんのおかげだ。
「あのさ悠理。実は今日、真白さんの誕生日なんだ。でも、オレ何もしてやれなくてさ……」
《はぁ?何言ってんのあんた。できることならあるじゃない?管理人さんの仕事のお手伝いするとか》
呆れてるような声色だが、それでも優しい声で話してくれる。本当にこいつはいい奴だと思う。
《あっ言っておくけど、あんた家事できなそうだし、そういう手伝いは迷惑なだけよ?それなら夕飯の買い物とか一緒に行ったら?荷物持ちくらいにはなるでしょ?》
「荷物持ちって……そんなんでいいのかよ?」
《はぁ……晴斗。あんたは本当に女心がわからない奴ね?たかがスーパーに買い物に行くのだって、一緒なら嬉しいものなのよ?おわかり?》
それにしてもやっぱりこいつの言葉は心に刺さるものがあるな。
《それともう一つ。誕生日プレゼントを渡す時はちゃんとした言葉で伝えなさいよね?ごめん仕事入ったから切るわね》
そう言うと通話を切られてしまった。まったく……あいつらしいな。でも、おかげで気持ちが軽くなった気がする。オレはふと、窓の外の花壇を見る。真白さんが一生懸命、水やりをしている姿が見える。
その姿はとても可愛らしく、見ているだけで癒される……オレに出来ることか……オレは窓を開けると真白さんを呼ぶ
「真白さん!」
「あっ北山さん?どうかしましたか?」
「あの!今日の夕飯の材料、一緒に買いに行きませんか!?荷物持ちくらいにはなりますから!」
「北山さん……ぜひ!お願いします!楽しみです!」
オレは部屋の窓から花壇にいる真白さんに向かって大きな声で言った。そして、笑顔の真白さんの返事を聞くことができた。良かった……真白さんの笑顔が見れた……。まだ誕生日は終わらない。真白さんが喜んでくれるために頑張るぞ!
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