40. 管理人さんと誕生日(前編)

40. 管理人さんと誕生日(前編)




 今日は待ちに待った私の誕生日。今日は早起きをして、いつもはやらないけど、朝からお風呂に入った。時間は7時40分。約束の8時までもう少し……。今日一日、北山さんの部屋で生活する。そんな私のワガママを北山さんは聞いてくれた。


 初めて出来た好きな人と過ごす誕生日。こんなにドキドキしたことは一度もないくらいに緊張する。北山さんの部屋に行く前にもう一度鏡を見る。よし。バッチリだ。


 そして8時少し前、私は北山さんの部屋に向かう。大丈夫。いつも通りでいいんだから。そしてインターホンを押すと北山さんが部屋から出てくる。


「おはようございます北山さん。今日はワガママ言ってすいません。よろしくお願いします」


「あっはい。おはようございます。真白さん。その誕生日おめでとうございます」


「あっ……ありがとうございます」


『誕生日おめでとうございます』って言ってくれたぁ……。ただ、それだけのことなのにとても嬉しく感じるよぉ。


「とりあえず、オレは執筆しているので真白さんはお好きにどうぞ」


「あ……はい……」


 この前は緊張しすぎて、よく北山さんの部屋を見てなかったなぁ。へぇ……本棚に本がいっぱい。さすが小説家さんだよね。あっ!あまり色々見てたら、不審に思うよね……おとなしくしておこうっと。


 よく考えてみたら、朝から夜まで北山さんの部屋で過ごすって私は何すればいいんだろう?あの時は一緒にいたいから、勢いで言っちゃったけど……。うぅ……とりあえず朝ごはん作ってあげよう。


「あの北山さん?」


「はい!なんですか?」


「朝ごはん作りますね?まだ食べてないですよね?」


 私はは朝食を作って、そのあとは北山さんの執筆の邪魔になると思い、いつものようにアパートの前の掃き掃除とこの前作った花壇の手入れをすることにした。


「はぁ。私……何してるんだろう……」


 ただのワガママで北山さんを困らせてるだけだよね……。北山さんは優しいし大人だからお願いを聞いてくれているだけだよね……。私はアパートの前で箒を持ちながらそう考えるだけだった。


「本当に……私って子どもだなぁ……こんなんじゃ北山さんの彼女になんてなれないよぉ……。」

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