38. 管理人さんと花壇
38. 管理人さんと花壇
私は今、重い土をアパートの裏手に運んでいる。そう、この場所に花壇を作ろうと思っている。
「ふぅ。意外に重労働だなぁ……こんな時に力がある人がほしい……」
私は上を見る。カーテンはあいているけど姿は見えない。ここは北山さんの202号室の真下だ。まぁ目の前は雪菜の102号室なんだけど……。
ふと私はスマホを取り出し、北山さんにメッセージを送る。
「北山さん。もしお暇でしたらアパートの裏手に来て貰えませんか?っとこれでよし」
そしてその瞬間後悔してしまう。北山さんが集中して小説を執筆していたら?どうしよう迷惑だったかな……。何気なくお手伝いをしてほしかったけど、北山さんと会いたい気持ちの方が大きかったから……。
数分後、北山さんがアパートの裏手に来てくれる。
「あっ。北山さん!来てくれたんですね。」
「どうかしましたか真白さん?」
北山さんに会えた。嬉しいな。そんな気持ちが溢れてくる。いけないいけない。目的は花壇だから、忘れてないから。
「この場所に花壇を作ろうと思うんですけど、一緒に手伝ってくれますか?」
そして私と北山さんは二人で裏庭の花壇作りを始めることにする。そして作業は30分くらいで終わった。やっぱり男手があると早いなぁ。花壇を作るために頑張っている北山さんは一生懸命でとても格好良かった。
「完成ですね。ありがとうございます北山さん」
「いえ。でもなんでアパートの裏手に花壇なんか?」
「それは……上を見てください。ここはちょうど北山さんの部屋の真下なんです。小説の執筆で行き詰まった時やふと外を見た時に綺麗なお花が見えたら気分転換になるかなと思ったんですよ」
私がそう告げると北山さんは微笑んでくれた。もう無理……恥ずかしいけど言っちゃおうかな。北山さんには嘘つけないし。
「それと……もし私を見かけたら声をかけてくれると嬉しいなって……きゃっ言っちゃった」
もうドキドキして困っちゃうよぉ!北山さんはまた微笑んでくれた。それから残りの作業を終えて自分の部屋に戻る。
「ふふっ。花壇のお花を育てるのが楽しみ!北山さんも気にかけてくれると嬉しいな……お花も私のことも……なんちゃって!真白ったら贅沢言い過ぎ!」
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