37. 小説家さんと花壇
37. 小説家さんと花壇
オレは今、執筆活動中だ。しかし全然筆がすすまない。書いては消し書いては消しを繰り返して、もう3時間は立っている。
「はぁ。真白さんの誕生日プレゼントどうしようか。」
オレの頭にはその問題がずっとある。真白さんへの誕生日プレゼントをまだ買えていないのだ。何をあげたらいいのか悩みに悩んでいる。真白さんは別に何も要らないと言ってくれたけど……それでも何かあげたい。
するとスマホにメッセージが届く。相手は真白さんだ。
「真白さん?えっと『北山さん。もしお暇でしたらアパートの裏手に来て貰えませんか?』って、なんだろ?」
真白さんからの急な呼び出し。一体なんだろうと思いつつオレはアパートの外に出る。するとそこには……
「あっ。北山さん!来てくれたんですね。」
いつも通りの可愛い笑顔を浮かべた真白さんがいた。
「どうかしましたか真白さん?」
「この場所に花壇を作ろうと思うんですけど、一緒に手伝ってくれますか?」
そう言って真白さんは花壇に使うであろう土の入った袋を見せてくる。そしてオレと真白さんは二人で裏庭の花壇作りを始めた。
そして作業は30分程で終わった。思ったよりも早く終わったな。真白さんが花が好きだって話は聞いたことないから花壇を作れたことに少し驚いた。でも花壇を作るために頑張っている真白さんはとても可愛かった。
「完成ですね。ありがとうございます北山さん」
「いえ。でもなんでアパートの裏手に花壇なんか?」
「それは……上を見てください。ここはちょうど北山さんの部屋の真下なんです。小説の執筆で行き詰まった時やふと外を見た時に綺麗なお花が見えたら気分転換になるかなと思ったんですよ」
オレの為……?わざわざオレの為にこの花壇を作ってくれたんだ。嬉しくて胸の奥がきゅっとなる。
「それと……もし私を見かけたら声をかけてくれると嬉しいなって……きゃっ言っちゃった」
照れくさそうに笑う真白さん。あーもう!本当に可愛い!!擬似でも、こんなに可愛い彼女がいるなんて……オレは幸せ者だよ。
それから真白さんの作業を手伝って部屋に戻る。
「オレはなんて幸せ者なんだ……今日ほど幸せな日はないかもしれない。そう思うくらいには最高の一日だ!」
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