35. 小説家さんと引っ越し
35. 小説家さんと引っ越し
今日は雪菜の引っ越しの日だ。オレは時間もあるし、真白さんの妹だし手伝うことにしている。
「これはどこへ運べばいいんだ?」
「適当に置いておいて」
「適当って……」
「ちょっと雪菜。それじゃ北山さんが困るでしょ?」
真白さんが雪菜に怒ってくれている。それにしても真白さん、今日は髪をしばってポニーテールにしてるけど似合ってて可愛いなぁ。
「あれ北山さん?お姉ちゃんのこと見てないで次はあれ運んでほしいんだけど?」
「みっ見てないだろ!誤解されること言うなよ!違うんですよ真白さん。」
「え~?なんか『今日の真白さん、ポニーテールにしてて可愛い』みたいな顔してたけど?」
なんだこいつ?エスパーか?いやそんなはずはない……。オレの心を読んだのか……?侮れん。オレが困惑していると真白さんもこちらを見ていたようで目が合った。そして少し照れた様子の真白さんは顔を背けてしまった。なんだろうこの気持ち……。
「はいはい2人ともイチャイチャしない!」
「だからしてないだろ!?」
「私だって別にイチャイチャなんて……」
「ほらほらさっさと終わらせちゃおうよ!」
その後もなんだかんだで雪菜の引っ越しが終わる。疲れたな。この歳になると体力がもたんな。
「お疲れさまです北山さん。今引っ越しそばを作るので良かったら食べていってくださいね。雪菜は北山さんに飲み物を出してあげて」
「はーい。」
そう言ってキッチンへ向かう真白さん。本当に可愛いなぁ。すると雪菜が飲み物を持ってくる。
「はい、北山さん」
「ああ。ありがとう」
「そういえばお姉ちゃんの誕生日プレゼント決めたの?」
「お前声が大きいって。それが……何をあげたらいいか悩んでる」
正直なところ真白さんの欲しいものが分からない。いつも一緒にいるからこそ分かることもあるのだが、今回ばかりは何をあげればいいか全く思いつかない。すると雪菜はニヤリとして言った。
「何でもいいと思うよ?お姉ちゃん、男の人からプレゼントもらったことないし」
「そっそうなのか?」
「うん。たぶん北山さんが初彼氏だよ。高価なものじゃなくてもいいと思う、北山さんの気持ちがこもったものならね?」
「雪菜……なんかありがとな」
「そう思うならあたしにはちゃんとしたプレゼントちょうだいね?」
「雪菜~!お蕎麦を運んで~!」
「はーい。というわけだから頑張って!」
そう言ってキッチンへ行ってしまった。あいつなりの応援だったのか?相変わらずこいつは調子に乗る奴だ。まあでもおかげで助かったかもな。
うむむ……。とりあえず考えるしかないか。真白さんに似合うもの似合うもの……真白さんは何でも似合うと思うし、とにかく可愛いからなぁ。
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