34. 管理人さんとお散歩
34. 管理人さんとお散歩
私はいつものように、アパートの前の掃き掃除をしている。来週から私の隣に雪菜は引っ越してくる。私の両親も私がいるなら安心という理由で反対しなかった。
ここのアパート壁薄いかな?私と北山さんのイチャイチャとか聞こえるかな……もう!何考えてるのよ真白ったら!
そんなことを考えながら掃除を終えると、北山さんがやってくる。
「こんにちは。真白さん」
「あっ北山さん。こんにちは。この前は雪菜が失礼なことしてすいませんでした。」
北山さん。今日も格好いいな。その優しい顔に癒されるよぉ。
「あっいえ。気にしなくて平気ですよ。それより、この後お暇ですか?天気がいいので一緒に近所を散歩しませんか?」
「お散歩ですか?はい。ぜひ!」
わぁ!北山さんから誘ってくれた。嬉しすぎるよぉ。ただのお散歩だけでも北山さんと一緒の時間はすごく幸せ。
とりあえず近所の公園まで一緒にお散歩をすることにする。春の陽気がとても心地よい。近所じゃなきゃ手とか繋ぎたいんだけどなぁ……。とか思っちゃったりして。
「そういえば雪菜ちゃんは引っ越してくるんですか?」
「来週には引っ越して来ますよ。迷惑かけないように言っておきますから、心配しないでください」
「来週……あっえっと来週って何かありましたかね?」
「え?特に何もないと思いますけど……?」
来週?GW前だけど……特に何かあったかなぁ……。アパートの水道点検は来月だよね?あっ回覧板回してなかった。北山さんなんか気まずそうな顔してる。
「あのですね……。ちょっと確認したいことがあるんですよね……。」
「確認したいことですか?」
「あの……その……オレと真白さんって付き合っているじゃないですか?擬似カップルですけど。」
「そっそうですけど……どうかしましたか……?」
一体何が聞きたいんだろう?はっ!もしかして、私が無意識のうちになんかやっちゃった!?
「それでですね……。真白さんの誕生日を教えてほしいなぁなんて思ってたりして……。」
あっ違った。そういえば北山さんには言ってなかった。擬似カップルなのに私……。
「私の誕生日ですか?あっ!すっかり忘れてました、4月25日が誕生日です」
どうしよう……いきなり来週ですとか言われても北山さんが困るだけだよ……。擬似カップルをやると決めた以上、そういうことは北山さんしっかりしてそうだし……。
「えぇ!?来週ですか?何かお祝いしないと。欲しいものとかありますか?」
ほら。気を使わせちゃったよぉ。何やってるの真白!
「そんな……。私は大丈夫ですから……」
「ダメですよ。ちゃんとお祝いさせてください。なんでもいいんで教えてもらえませんか?」
「じゃあ……一つだけお願いを聞いてもらってもいいですか?」
プレゼントなんて用意させるのは申し訳ないし、それなら私がやりたいことをお願いしよう!それならきっと問題ないよね。私は一呼吸おいて北山さんにお願いをすることにする。
「北山さんのお部屋で朝から夜まで、北山さんのお手伝いをしたいんです。」
「え?オレの?でもそれは真白さんの誕生日プレゼントにならないのでは?」
「そんなことないですよ。ダメですか?」
北山さんは私のそのお願いを快く了承してくれた。少しワガママだったかな?
そして散歩を終えて私は部屋に戻る。
「……いやーん。真白ったら大胆!これじゃ擬似カップルじゃなくて擬似新婚生活みたい!もう北山さんには何でもしてあげちゃう!朝から夜までって、幸せだよぉ。」
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