29. 小説家さんと度胸
29. 小説家さんと度胸
今、オレは改稿した恋愛小説を悠理に見てもらっている。真白さんとの体験を元に書いた話だ。
「どっどうだ?」
「晴斗。すごい良くなっているわ。」
「本当か!?」
「まぁ慌てない。一つ気になることがあるんだけど、いい?あのさこれは登場人物は大人の設定よね?悪いんだけど、これじゃ高校生の初恋みたいなんだけど?」
うるさい。仕方ないだろオレの恋愛経験値から考えても、それが精一杯だ。でもそうか……やっぱり子供っぽく見えるのか……。少しショックだな。
「あとさ。主人公の部屋に泊まったのに何も展開されないのは、小説として少しいただけないけど?」
「お前は、オレに真白さんをどうこうしろって言ってんのか?」
「小説の話よ。というか晴斗、お泊まりしたのに管理人さんに何もしなかったの?」
「するわけないだろ!何を言ってんだよお前は!」
何を言い出すんだこいつは! あーもう。早く帰ってくれないかな……。そんなオレの言葉を聞いて悠理は呆れて答える。
「はぁ……本当に度胸がないわね晴斗は。もし私が管理人さんなら、ショックだけどね?自分に魅力がないのかな?って」
「え?……マジ?」
「当たり前じゃない。子供じゃないんだから一人暮らし男の家に泊まるんだもの、少しくらい覚悟や期待は持ってるものよ。晴斗、あんたつまらない男と思われたんじゃない?」
「…………。」
いやいや……真白さんは、こいつとは違う。でも……本当にそうだとしたら……
「悠理……オレはどうしたらいいんだ!オレ真白さんに嫌われたくない!」
「知らないわよ!」
「もう無理だ……何も書けない。オレの前から真白さんがいなくなったら生きていけない……。」
「……わかったわよ。私が管理人さんにそれとなく聞いてみるわよ。報酬の件もあるから、この後約束しているし」
はぁ……とため息をつく悠理。そして、またため息をつきながら言う。
「まったく世話の焼ける先生ね。本当に子供なんだから晴斗は」
「悠理様~!」
……でも、こういう時に相談できる相手がいるのは助かる。悠理には感謝してるんだよな……。そして悠理はオレの部屋を後にする。そして誰もいなくなった部屋で1人言い訳をする。
「真白さん……違うんです。魅力がないなんてとんでもない。好きすぎて大切にしたいだけ、軽い男に見られたくなかっただけなんですよ~!」
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