19. 小説家さんとまた

19. 小説家さんとまた




 手を繋いでいる右手がすごく熱い。真白さんと手を繋ぎながらオレは水族館デートを楽しんでいた。


 そして、水族館の目玉である大水槽の前に辿り着く。その大水槽には色んな魚たちが泳いでいた。その中にはマンタやウミガメなどの姿もある。


「わぁ……綺麗」


 真白さんはその大水槽に釘付けだった。目をキラキラと輝かせている。そんな姿も可愛いと思った。


「真白さんの言う通りだね。すごく綺麗だよ」


「ふぇっ!?」


「え?どうしたの?」


「い、いえ……私のことかと思っちゃって……あはは」


 顔を赤くしながらモジモジとする真白さん。恥ずかしそうにする仕草もまた可愛らしい。そして、オレたちはこの大水槽で1時間ほど楽しんだ。そのあとも水族館を見て回った。その間、ずっと真白さんと手を繋いだままだった。


 そして帰り道。もう辺りは薄暗くなっており、街灯だけが頼りになる。


 そんな中、オレたちは駅に向かって歩いていく。その時……オレの手を握る力が強くなる。それは真白さんから伝わってくる力だ。チラッと横目で見ると俯きながらも頬を赤らめていた。


「あの……真白さん。今日はありがとうございました。」


「こちらこそです……とても楽しい時間でした……」


「恥ずかしい話なんですが、オレはデートしたことなくて……だから、緊張して上手く出来てないかもしれないけど……」


「いえ、北山さんはちゃんとしてくれてますよ。それに私もデートは初めてですし……。でも、こうして一緒に歩くだけでも幸せな気持ちになれるから大丈夫……!」


 そう言って笑顔を見せてくれる真白さん。その言葉を聞いて安心すると共に嬉しくもあった。そしてアパートに戻ってくる。


「今日は本当にありがとう。真白さん。」


「お礼を言うのはわたしの方ですよ!……こんなにも素敵な思い出が出来たのは、全部北山さんのおかげですから。」


 心臓が高鳴る。擬似カップルだから……そんなんじゃない……オレは自分の意志で伝えるんだ。自分の想いを。深呼吸をして覚悟を決める。そして、意を決して口を開いた。


「あの……真白さんさえ良ければだけど……また一緒に出かけませんか?」


 真白さんの目を見ながら話す。ドキドキとした緊張感の中、返事を待つ。


「……はい、喜んで。」


 その返答を聞いた瞬間、身体中から力が抜ける感覚に襲われた。そして別れを告げて自分の部屋に戻る。


「はぁ良かった……断られたらどうしようかと思った……やっぱりオレは真白さんの事が好きだ。これからもずっと好きだ!絶対絶対好きだ!」

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