8. 管理人さんと編集さん

8. 管理人さんと編集さん




 私は昨日の事からすごく気分がいいの。今はアパートの前の掃き掃除をしている。


「ふふん。ふん。綺麗にお掃除しないとねー。」


 そんな時、スーツの女性がアパートの前で誰かに電話をかけている。誰かのお知り合いかな?すごく美人さんだ。


「あっ晴斗?今どこにいるの?」


 えっ……晴斗って、北山さん!?


 《どこって家だけど?》


「ちょうど良かった。今新しいアパートの前にいるんだけどさ?晴斗の部屋って何号室?」


 《は?なんでもう来てるんだよ!まだ書き終えてねぇって!》


 その女性の電話口から聞こえてくる声は、やはり北山さんだ。もしかしてこの人……北山さんの彼女!?


「はぁ?あんたが新しい小説を確認してほしいって言ったんじゃない?それで部屋番号は?」


 ダメ……わかってるけど……確かめないと無理!


「あの?もしかして北山さんのお知り合いですか?北山さんなら202号室ですよ。案内しますね」


 《えっその声は真白さん?》


「ありがとうございます。それじゃ晴斗、今行くから」


 私はそのままこの女性を北山さんの部屋に案内する……ダメ、足に力が入らない……うぅ……嘘であってほしいよ!そして北山さんが出てくる。


「さっさと開けなさいよ。」


「お前、夕方からの約束だろ?」


 あっ。北山さんが私をチラ見してる。すごく気まずそう……


「あの……その女性は北山さんの彼女さんですか?」


「あっこいつは……」


「彼女みたいなもんでしょ!昔から知ってるんだし、ほら早く中にいれなさい。あっ管理人さん、ありがとう」


「悠理!オレたちはそんな関係じゃ……」


「!?悠理……名前呼び捨て……あのあの……失礼します!」


 終わった……さよなら私の一目惚れ……そのまま家に戻り、足に力が入らず玄関に座る。


「うぅ……うえーん!なんでなのぉ!あんな美人の女性じゃ絶対勝ち目無いじゃん!もう嫌だよ!初恋だったのにぃ!」

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