霞(かすみ)がかる、山で

 足を進めるたびに、かすみはどんどん強くなる。白いもやが全身の周りを覆っていく。

 まるで、自分の頭のように。

 骸骨たちは見えなくなった。『カラカラ』の音もしないので、本当に姿を消したのかもしれない。

 白いもやの細かな形状の一部。それが時折、人か悪魔の顔に見えるようで恐ろしかった。

 延々と坂道を上っているはずだが、息を切らす気配はない。心配すらしていなかった。

 同じ速度で延々と、亡者のように歩き続けた。

 すでに血のぬめる洞窟を抜けて、しゃり、しゃりとした砂とでこぼこの地面を歩いている。

(あの赤い血は、何だったのだろう)

 時間が立っているはずなのに、乾くことも黒ずむこともない。流れたてのような血液だった。

 今となっては、本当に血だったのかも思い出せない。

 何も来ないが、月明かりも届かなくなってきた。

 霞と雲により、二重に隠されているようだった。

 とにかく心細かった。

 異形のものには出会いたくないが、道なき道が永遠に続くようではあった。

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