血塗られた、洞窟にて
布の靴が濡れる。足には染み込まないが、よく滑る。
鉄の
なにかの血ではないか、そう気づいた頭が嫌になった。
なにも、移動し続ける必要はないのではないか。
(行き止まりかもしれない)
しかし、洞窟は次第に広くなり、うっすらと光が差し込んでいた。
(外……?)
天井がない場所へと、存在は突き抜けるように出る。
真っ赤な地面を、月光が照らしている。死体がないのにも関わらず、洞窟は血まみれだった。
布の靴にも、狭い道で
『カラカラ』が、また聞こえてくる。
その声が一切出なかったのは、臆病さを隠すためだったのか。
呼吸が止まるほどの恐怖だったからか。
洞窟から見上げると、
登ればこの洞窟からは離れられるが、無論、骸骨に何をされるかはわかったものではない。
そこは洞窟から抜けて開けた、
上り坂になっている正面の道を歩いていく。
進み続ければ、骸骨と合流することになりそうだが、進む以外に道はない。
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