傘が無くなる日

 いつか必ず訪れる。


 大きい傘だった。

 傘の無い彼女は、その傘に入れてもらう。

 キュートな女性だった。

 そんな彼女が近くに、側に、傍らに居る。

 それだけでステイタス。


 なんてのも、雨天の間だけ。

 雨がやんだら。

 傘は閉じてしまう。

 むしろ、彼女のほうが雨を望む。

 そんな気がする。

 雨が止んだら。

 傘を片付けたなら。

 彼女は雨上がりの空の下。

 独りなのだから。


 我が身は我が身で守らねばならない。

 キュートならば、いつでもどこでも。

 狙われている。

 そんな気持ち。

 芽生えているのか、どうか。


 雨は、とっくに止んでいるのだ。

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