この切迫と緊迫の間に推しフる夜のファンタジー

星降る夜に、推しに会いたくて。

徹夜でネットで、現場あさってた。

ウチワだけは大きい、今も。


貯蓄、切り刻む。

ネット通販、期間限定、予約オンリー。

泣きながらキャンセルしたの。

もう手に入らないって、わかってたのに。

あなたの販促、断るしかない。

担当、失格だよね。

あなたを裏切るつもりは無いのに。

どうして、こうなってしまったの?

公式のイジワル、でもワタシ、負けない!


星降る夜に、推しに会いたくて。

転売屋の誘惑に、もう溺れそう。

ハッピ着てもアンハッピー。


有給、なくなったね。

どうにかなりそうなほど、愛しくて。

悪魔に魂を売ってでも、現場に……。

灼熱太陽コロナ熱で、パラメータに小細工。

なんてことできない、そんなのムリよ。

ねぇ? わかって……。


毎朝、あなたの声で。

眠りから解き放たれて。

こんな陰りゆく世の中で生きてく、あたしを支えてくれるの、あなただけなの。


推し降る夜、君にいくらでも、注ぎたいよ、湯水のように。


売ればいいよ、と君は言うけれど

缶バッチは、売れないの。

推せば推すほどに、部屋が推しの欠片に満ちてゆく。

窒息しそうなほど、あなたに壊れてる。


何気ない街角、ありきたりな日常。

一瞬だけでもいい、あなたに会いたい。


月灯に照らされて、妄想は加速する。

抱き枕を抱きしめても、天井のポスター眺めても、タペストリーを並び替えても。

崩れそうなほど、切ない夜。

切迫、緊迫、強迫の推しフる夜のファンタジー。

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