そう簡単に事件にならない事案

 せっかく『探偵』と知り合いになれたのに。残念だ。事件が、まったく起こりそうにない。僕は友人知人が少ないし、親類縁者も少ないし、温泉旅行も行かないし、すごい大きな屋敷とかも無縁だ。

 いつもの時間に起床、出勤、お仕事、帰宅……たまの休みは寝て過ごす。

 これでは、探偵の出番が無い。

 まさか自分が加害者、不可能にして完全犯罪を目論むわけにもいかない。

 いや、目論んでもいいんだ。プランとゆうか、ネタはある。

 シンプルなトリックによる密室殺人なんて、それなりに支度できるんだ。

 でも、殺したい人が居ない。

 関連性が薄いと、動機付けも薄い。お試しでやるものでもないし、トリック実験ってわけにもいかない。

 もっとも困ったことは、僕の考案するネタが、あまりにもパーフェクトなんだ。つまり、せっかく知り合った『探偵』程度では、解決が難しい。

 それも困る。

 困り果てた僕は、最終手段というか、奥の手を使うことに



(TimeUp)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る