意外と難しい『ま』

 各科からやってくる撮影依頼書には『R』という文字がよく使われている。

 たとえば膝の撮影なら『右膝2R』腰なら『腰椎2R』と書かれている。

 この『R』はドイツ後でRichtung:方向という意味で、2方向撮影をしろという意味。

 読みは……リヒトゥングだったかな?

 2方向は正面像と側面像を撮影する。

 指や膝、脊椎、たまに胸部も2方向撮る時もある。

 ここで言う正面と側面とは、ま正面とま側面のこと。

 これが結構難しい!

 なぜなら人の体は多少歪んでいて、左右対照ではない。

 仰向けにバタっと寝ても、壁にびったり背中をつけて立っても肩や鎖骨、骨盤はどちらかに傾いている。

 特に骨盤などはじっくり見ないとわからない。

 寝ている姿勢を確認し、どちらかに傾いていたら微調整をして真正面にする。

 膝も膝蓋骨という膝のお皿のような骨が、関節の中央に位置する体位で撮る。

 足首も真正面になっていないと」これ、斜めじゃん」と医師に言われる。

 真正面よりも真側面の方が難しい。

 特に腰、背中の面が撮影台に垂直になるよう微調整して撮影。

 それでも真側面になっていないこともある。

 胸の辺りは垂直でも腰の辺りがくねっと曲がっている人もいる。

 特に細身の方は難しい……

 真側面でないと微細な骨折が見えないこともある。

 細心の注意を払って撮影する。

 意外とこの『ま』は難しい。

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