コロナの現在②

 まだコロナとの戦いは続いている。

 と言っても最前線ではないので、地味な戦い。

 しかしこれだけ長期戦になると、どうしても油断が起こる。

 X線検査を終えてからコロナ陽性が判明するパターンがたまにある。

「すいませーん。さっき検査した○○さん、PCR陽性でーす。」

「え〜。」

「換気と消毒お願いしますねー。」

「え〜。」

 だいだいいつもこんなリアクションになる。

『え〜。』というリアクション。

 派手に『えー! うそー! まじー!」と叫ぶことはない。周りに知られないように配慮しながら静かに驚く。

 酔っ払って転んで頭を打った20代の若者。

 念のためと頭部CTを撮影。

 なんか体があったかい……体温を測ると熱がある。

 飲み過ぎで脱水だからかなぁ。

 念のためPCR実施、はい! 陽性!

 聞けば友達の家でみんなで集まり、2日ぶっ通しでドンチャン騒ぎをしてたとか。

「コロナの患者さん、検査したけど大丈夫でしょうか?」

「大丈夫! お互いマスクしてるし、咳もしてないし、接触時間も短いし、濃厚接触にはならない!」

 本当か? と思うけど事実感染はしていない。

 職員が感染すると、以前なら病院中が津波のようにざわつく。

 しかし現在は小さくさざなみのようにざわっとするだけ。

 でも、濃厚接触者の調査は行う。

「一緒に昼ご飯を食べたのは誰か?」

「いやー、それがあの人、いつもぼっちで食べてたんでいないですぅ。」

「えっ!」

 コロナは寂しい事実も公にする。




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