初めて就職した病院②

 この病院、今では考えられないことがあった。

 いや、あったというよりなかった。

 検査衣がなかった。

 検査衣とは金具やプラスチックなどが付いている服や下着を脱いでもらって着る服。

 これがないということは裸になってもらうということ。

 全裸になることはないが、胸部X線検査の場合は、何もついていないシャツを着ていないと上半身裸にならないといけないということ。

 高齢の方や男性の方は気にせず脱いでくれるが、若い女性は嫌がる、当然。

 近くにあった工場の健診があり、ここが意外と若い女性が多い。

 制服の下はブラのみの人が多く、制服もボタンが付いていて、ほぼみんな上半身裸。

 こちらとしては仕事だし、いやらしい気分にはならないが、やはり嫌がられる。

「楽しい仕事で嬉しいでしょう〜。」

「なんか、目がやらしい〜。」

 などと言われながら撮影する。

 たまったもんではない……

 腰椎のX線検査の場合は、ズボンやスカートに金具があれば脱ぐか下にずらして撮影する。

 上半身は上にめくり上げればいいが下半身はパンツが丸見え。

 痛みなどの症状のある人が多く、健診のような嫌味は言われなかったが、やはりやりづらい。

 他の施設がどうやって撮影していたのかも知らない時期で、これが当たり前なのかと思って撮影していた。

 いま思い返すと、検査衣を用意しましょう! とは言えばよかった、と思う。なんか言えない雰囲気もあった。

 いまだったらセクハラで訴えられても仕方ないレベル。


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