　資格をとって初めて就職した病院は木造3階建て。

　今でこそ木造といえばレトロ！　などと言われるが、ここはただ古くてボロいだけ。

　レントゲン室の中を何か黒い小さな虫が飛んでいる、とよく見たらノミだった。　

　だだっ広い場所だと、ノミはあんなに高く跳ねるんだと初めて知った。

　技師長は60代後半の人。

　その下に30代の人がいたが、自分が入ったらすぐにやめた。

　なるほど、そういうことになっていたのか……

　なので、撮影のやり方等はすべて技師長が教えてくれた。

　この教え方がすごくシンプル。

「とにかく、なんか写ってたら大丈夫だから。」

　まじか！

　確かにマシだった、写真が少々黒くても白くても、少し部位が欠けてても何も言われなかった。

　診療科は内科、外科、産婦人科、整形外科など。

　午前中の診療は１２時までで、技師長は昼ごはんを食べるといなくなる。

　医局に麻雀をしに行く。

　午後の診療は３時からだが、たまに戻ってこないこともあった。

　その間は一人で撮影を行うが、件数も少ないし適当でも良かったので楽だった。

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