学生の頃

 診療放射線技師になるには3年以上養成施設で勉強し、卒業後に国家試験に合格しなければならない。

 養成施設には専門学校、短大、大学とさまざま。

 しかし最近は専門学校と短大は大学に移行している。

 自分が卒業した専門学校も今では大学で、授業料も高い!

 その専門学校は2部制で、1部は通常の日中に学校に行き、2部は夜間制だった。

 自分が行ったのは夜間部。

 なぜかと言うと親に負担をかけたくなかったのと、なんとなく夜間の方が面白そうだったから。

 クラスは一つで入学時には52人いた。

 予想通りさまざまな経歴の人がいた。

 高校を卒業して来た人は少なく、他の短大や大学を卒業、中退した人、他の分野の社会人、経歴不明の人もいた。

 年齢も18歳〜35歳と幅広い。

 某有名私立大学出身の人もいて、講師の先生よりも優れていた。

「先生、そこ、そうじゃなくて、こうじゃないですか?」

 物理の時間よく手を上げて訂正していた。

「ん? ああそうか、なるほど、そういうことかぁ。」

 講師もあっさり間違いを認めていて、たまにわからない箇所を教えてもらっていた。

 自分は知らなかったが、ヤ○ザ、いわゆる反社の人もいたという。

 入学してしばらくいたが、一週間くらいで来なくなったとか。

 昼間は病院に勤めて放射線科の助手で働き、夜になると学校に行く生活。

 ただ自分の場合は1年の時だけ学校だけに専念した。

 なぜかというと1年から2年に上がる時に大量に留年する人が多いと聞いていたから。

「君って、昼間働いてないんだって?」

 一人の同級生が話しかけて来た。

 同級生と言っても10歳は年上。

「ええ、はい。」

「なんで?」

「いや、2年に上がれないかもしれないから……」

「は? なにそれ、その考え甘いよ、そんなんじゃ君、技師にはなれないよ!」

 と怒鳴って立ち去っていった。

 2年に進級した時、そいつはいなかった。

 留年してやめたらしい。





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