㈢
「
ギロリと校長を睨み付けると、ばーさんはズカズカと入って来るなり向かいのソファに座る。
「い、
余程ばーさんに頭が上がらないのか、只事じゃない位狼狽してる。
「まぁ、協力して貰ってる訳ですし、ここはひとつ校長の顔を立ててお話を伺いましょう」
山口さんの言葉に、ばーさんは何か思うところがあるのかフンと鼻息で返事をした。
「あのですね……この学校に誘拐事件の犯人が居るとは本当の事なんでしょうか?」
どうやら、ばーさんよりもその事が気掛かりだったらしい。
苗字と名前のギャップが面白いと感心していると、ばーさんはオレに報告をしろと言ってきた。
「(報・連・相)《ほう・れん・そう》だよ望。何か怪しい奴か出来事が無いのかい?」
まるで何事も無いのが悪いかの様に言ってきた。
「ばーさんこそ、何も無かったのかよ。それにまだ転校初日だから顔と名前が一致しないよ」
「もちろん怪しい奴は居たけどね。ただ奴が犯人か今一つ確証が持てなくてさ、刑事さんと相談して
「囮だって? 気でも狂ったのかババァ……ばーさん。児童誘拐なんだろ? そんな危険な事を小さい子にさせられるかよ」
ばーさんは呆れた顔でヤレヤレと言いたげに首を横に振り、わざとらしくため息を
「そんな心配は要らないよ。囮も望、お前がするんだしね。時間ばかり掛けて子供を危険に晒す訳にいかないじゃないか。だから、もういっその事、転校生のお前は潜入捜査をしてると情報を流して不審な人物を炙り出そうという事さね」
そうゆう事なら仕方ないか。【備えあれば憂いなし】を座右の銘にしてるばーさんに一通り護身術を習えと言われ、小学校の時から空手、中学から部活では剣道をしている。
自分で言うのもなんだが、そんじょそこらの奴には負ける気がしない。
早速、オレは囮になって身辺の警護は山口さんがする事となった。
拝み屋 西条望の心霊ファイル 水月美都(Mizuki_mito) @kannna328
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