伍霊 望、捜査協力をする

 最近ばーさんの様子が変だ。

 手当り次第に拝み屋の依頼を引き受けてるし、簡単な除霊ならオレに丸投げする。

 何か厄介なモンをしょい込んでるんじゃないだろうか。そう考えてた矢先、来客があった。


「ごめんください」

 その時、たまたまオレしか居なくて。対応に出ると、三十がらみのスーツを着た男がいた。

 目付きが鋭く、渋いイケメンではあるが、とても堅気の人間には見えない。


「いま、自分以外留守なんですが」

「いや西条望くん、君に用があるんだ。いま少し良いかい?」

 頷くと、家に招いて良いか一瞬考えたが、彼に憑いてる守護霊を視る限り、悪い人間には見えなかったので上がる様に言った。


「初めまして、望くん。俺は……」

「刑事さんなんでしょ。祖母ではなくオレに用が有るって、どんな用件なんですか?」

 少し驚いた顔をしたが、さすが刑事だけあって直ぐに立ち直り話し出した。


「実はね最近、子供を誘拐しては殺害してる連続誘拐殺人事件が起こってるのは知ってるかい?」

 もちろん知っている。つい最近は隣町で小学二年の少年が下校中に連れ去られた。


「君のお祖母さんに霊視を頼んでいたんだが、手掛かりが見つかってね。でも物証が無いんだ。かと言って手をこまねいて居ては、次の犠牲者が出ないとも限らない。そこで、君に潜入捜査を頼みたいんだ。もちろん、危険が無いように俺も近くに居るつもりだ」


 潜入捜査って。まるでドラマの登場人物になったみたいだ。

 でもこれは現実で。今も攫われて生命の危険に晒されている子供が居る。


「刑事さんオレ、潜入捜査の依頼引き受けます」

「ありがとう望くん。あと俺は山口 景士けいしだ。よろしく」

「よろしくお願いします」


 こうして、オレは人生で初めて捜査協力をする事になったのだった。

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