破 ウリッツァ

「な、なあ、マギヤ。と、時々オレに触ったり、液体みたいなのをかけたり……オレの体……の中……に入ってきたりしたのって……お前じゃ……ない、よな?」

「私以外の誰にそういうことが出来ると言うのですか、ウリッツァ?」


「ウリッツァ、私をこの部屋と班から追放してください――――、一度貴方と本格的に距離を置いて自分をちゃんと見つめ直したいんです」

「マギヤ……」



 あの一件以来、ウリッツァは裸になるたび、マギヤのことを思い出す。

 ウリッツァがマギヤからの行為を実感して、あの一件以前のあの行為やあの行為がマギヤによるものだと知って……ウリッツァはそれらが不快だとは、不思議と思わなかった。

 いや、相手が分からないでやられてた当時は、不快感・不安感・恐怖などを感じただろうが、相手がマギヤと知った上で振り返ると、不快感や恐怖などとは別の、胸が締め付けられるような感覚を覚えるウリッツァ。


 ウリッツァとマギヤが二人だけでいるのを禁止されて以降、ウリッツァは何度かマギヤを訪ねようとするが、タケシ班として行動するときや一部の移動授業のときなどを除けば、マギヤは一人で行動しがちになっていた。

 一人じゃないときも主にトロイノイと取り込み中で話しかける隙がなかった。


 ……ウリッツァを悩ませる根本原因が、再びウリッツァに迫る。

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