序その2 マギヤ・ストノストの淫夢
ウリッツァ・サンクトファクトル。年は今年の夏の初節二十四日に誕生日を迎えて十七歳。
陽光を思わせる金色の短い髪と、海を思わせる青い瞳を持ち、朗らかで優しい雰囲気がありつつも鼻筋の通った美しい顔立ち。
日頃の鍛錬の賜物たる太い首、がっしりとした肩。
頭をのせるための枕にはあまり向かない、やや硬質な脚。
豊満で指で突くと柔らかな大胸筋、引き締まっていて男ながらくびれがある腰、震えつつもしなやかに反りたつ……男根。
そんな一糸まとわぬウリッツァを、触手が蹂躙する。
ウリッツァのたくましい両腕は、ウリッツァのたくましさに対抗するような太い触手で、ぐるぐるに束ねられ、それよりは細い無数の触手達が仰向けのウリッツァの体のあちこちをもてあそぶ。
ウリッツァの腕に巻き付く触手と同等以上の太さで、いきり立つ男根状の触手が、他の触手に強引に脚を広げられて丸見えのウリッツァの名門に激しく出入りする。
それにしても、ウリッツァの声が全く聞こえない。いや、声どころか音そのものすら全く聞こえない。
ウリッツァの救いを乞うような表情や口の動きなどから何か声をあげているのは確実なはずだし、ウリッツァ内を出入りする触手はウリッツァの体液だかなんだかをまとって、私自身ではここまでやれない・やりたくないと思うほど、かなり動きが激しいというのに。
自分の咳き込む声と喉に引っかかるような感覚で目が覚めると、独特の甘い香りがする白い花々が目に飛び込んできました。
……ここが一人部屋でよかった、誰か同室者がいたら間違いなく驚かれていたことでしょう。
ウリッツァのここまでの淫夢かつ悪夢を見たのは初めてですが、ウリッツァの淫夢そのものを見たのは実は初めてではありません。
私は、両親が死んでウリッツァに出会って……ウリッツァとの夢で精通して以来、両親が死ぬ悪夢の他に、ウリッツァとの淫夢を時々見るようになっていました。
……触れ合い、ついばむような口づけを交わしあったり、お互いを撫ぜあったり、裸で抱き合ったり、私がウリッツァの中で射精したり……先程見た夢に比べれば、だいぶかわいく優しい夢です。
……どうして私は、この学生寮の一人部屋にいるのでしょう……?
どうしてウリッツァがいないのに平然と生活できるのでしょう……と思うのでしょう……?
だってウリッツァは、この前やっと名前を覚えた単なる同級生で……あれ、幼なじみ? いや……相棒、いや、もっと……。
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