第10話 花嫁の顔は、赤く、うつむいたまま。 純な結婚も、あるんだね。心の奥では、涙が止まらないほど、美しくなっていくイベントなんだ。

 これって、実は、資金集め。

 踊りが上手ければ上手いほど、式に集まっていた人たちから、金をもらえるようになっていた。

 この金が、新郎新婦への、結婚の祝い金になっていくんだそうな。

 昨日まで、花嫁が身に付けていた、未婚の知らせ・中華風の丸帽子は、リングに変わっていた。

 「もう、私は、既婚者なんですよ?」

 そんなアピールも、良いね。

 花嫁花婿が、無事にそこに座っているということは…。

 初夜が、無事に済んだということ。

 花嫁の顔は、赤くなったまま。

 うつむいたまま。

 純な結婚も、あるんだねえ。

 「あれ…何?」

 結婚式会場の中央に、1人の女性が、躍りでてきた。その女性は、年老いていた。

 どうやら、花婿の母親だったらしい。

 その花親が、花婿、息子の前で、踊った。

 「え、何?」

 母親が、泣きはじめた。

 「良かったよう。立派になって、くれたんだねえ」

 日本人は、考えさせられるかも。

 中東地域の悲しみは、戦争に紛争が絶えないということ、だった。

 戦争で、息子は、家に帰れなくなっていたかもしれない。

 だから、母親なら、こう言いたかったんじゃないのだろうか?

 「お前、良かったねえ。ああ、帰ってきてくれたんだねえ。お嫁さんも、もらえたんだねえ。本当に、良かったねえ…うれしいよ」

 こういうのは、日本じゃ、見られないイベントだ。

 大切なシーンを、見られた気がした。

 戦争の悲しみは、花婿だけじゃなくて、参列者たちにも、老いた母親と同じような悲しみの年月を与えていただろう。

 中東地域の結婚は、表面上は笑っていたとしても、心の奥では、涙が止まらないほど、美しくなっていくものなんだ。

 なかなか、海外に出られない、この時代。こういう旅行が体験できても、面白いな。

 さてさて、もらっていたハガキのことを、忘れちゃダメだぞ!彼女は、誰を助けにいけば良いのやら?





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る