第9話 花嫁は、顔を赤くして、うつむいたまま。中東の女性の結婚式を、お送りいたします!女性たちの、どんな気持ちが、見えてくるでしょうか?

 部屋に、歓声が起こされた。

 娘たちは、花嫁を守るために、男を、追い返そうとしていた。

 それに負けまいと、さらに声を上げる、男たち。

 サプライズな、ウェディングイベント?

 「もちろん、これは儀式」

 って、そこにいる皆がわかっていたのに、皆、本気で、花嫁を守る。男は、なおも、花嫁をさらおうと乱入。

 で…?

 女性たちの抵抗も空しく、花婿の男は、花嫁の女性を連れ去っていく。

 「アトラクションな、結婚式だなあ」

 ネットでは、こんな説明もあった。

 「昔から、トルクメンの遊牧民文化では、駆け落ちで結ばれるカップルが、珍しくありませんでした。この儀式は、その当時の名残なのです」

 ここで、ハッとなった。

 以前、私は、不思議な映像を、頭に描いてしまったものだった。

 「砂漠をいく姫に、その姫をさらっていく男の姿」

 今でも、この地域では、そうなのかな?

 「もちろん、今では、こういうこともありません」

 ネットの、説明。

 まあ、そうだろうね。

 今では、サハラには、国境線が引かれた。だから、他の国には、勝手にいけなくなってしまったっていうこと。

 披露宴は、翌朝からはじまった。

 花嫁は、顔を赤くして、うつむいたまま。

 この日は、娘たちだけが集まるわけではなく、新郎新婦の家族や知り合いをはじめ、村中の人たちが、農家の倉庫のような建物の中に、集まった。

 歓迎の、踊り。

 このとき、踊っていたのは、未婚の若い世代と、既婚の人妻だけ。未婚の娘たちは、踊りを見ていただけのようだ。

 「私を、見て!」

 ときに、若い美人の人妻が、ドキッとするような流し目を送っていた。

 「刺激的なことを、するんだなあ。色っぽい仕草までしちゃって、旦那以外の男性に良く思われちゃったら、どうするのかな?」

 心配に、なってしまうところだ。

 でも、皆が、これは儀式だとわかっていたので、問題なんか、何もなし。中東地域の結婚式は、面白い。

 実は、この流し目…。






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