第2話 花嫁の私を助けてだなんていう、ロマンチックになれそうでなれない、うっふんな指令。ハガキの差出人、アサヤって?マスクが、キーワード?

 「コロナ禍でも、化粧品がたくさんが売れた場所が、あるらしい」

 「え、マジ?」

 「そこは、どこの地域だと思う?」

 「うーん…」

 「そして、その国に生きる女性たちの気持ちは、どんな感じなのかな?」

 「…海外、か」

 「サン、わかる?」

 「海外、いきたいなあ…」

 「こら、こら」

 届けられたハガキと共に、不思議色。

 ハガキの差出人の名前は、「アサヤ」?

 はて…?

 笑えないよ。

 笑顔に、なれない。

 コロナ禍でマスク姿だから、たとえ笑顔であっても、誰にも気付いてもらえないかもしれないけれど。

 困った社会だよ、コロナ禍っていうのは。

 「あら、サン!」

 「久しぶり」

 「そのマスク、良いね」

 「そう?ありがと」

 「でも…」

 「何?」

 「サンの目、笑ってる」

 「そっちの目だって、笑ってる」

 「それって…、あれ?」

 「何?」

 「サン?この前、私も言われた」

 「誰に?」

 「知らない人」

 「ふうん」

 「私たちの目って、笑ってるらしいよ?」

 「ふうん」

 「ヘラヘラ、なのかな?」

 コロナ禍のマスク姿って、難しいよ。

 私たちの目が、ディスられるし。

 シューショクヒョウガキっていう、厳しい社会を生きてきた人たちとは、顔の作りが違うって、嫌み?

 社会に出ると、笑われる。

 笑えば、笑われる。

 人前で、にこっとするたびに、笑われる。

 頭に、くるなあ。

 マスクの謎を、解いてやろう。そして、あのハガキの謎を、解こうじゃないか。助けてもらいたい誰かが、いるわけでしょ?

 マスクでいやな思いをさせられる私たちだって、救いたい。

 さあ、はじまった。

 花嫁の私を助けてだなんていう、ロマンチックになれそうでなれない、うっふんな指令がさ。





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