第40話

 女神「おっぱい!」


 それ俺の挨拶!!!!!!!!!!!!


 どうもみなさんこんにちは幼アレンです。

 本日は『無限幼稚編』のエピソードをいくつか紹介したいと思います。

【温泉編】【浴衣編】のニ本立てでお送りします。


 それでは【温泉編】からどうぞ!


 ☆


 美人(美少女)のありのままの姿——全裸が見たい。もうネグリジェや下着姿だけじゃ満足できない。いや、大事なところが隠れているチラリズムも最高だけど。

 最高だけど俺もオスですから。やっぱりその先を追い求めちゃうよね。

 幸い現在の俺はショタである。オチ○チンがパオーンにならない。

 諸君は女風呂に入った経験があるか?

 俺? 俺はある! ドドン!


 女神「犯罪じゃないですか! 転生じゃなくて地獄に叩き落しておくべきでした!」

 よくねえよ。

 

 幼少期。新しくできたスパホテルに母親と美月ちゃんに連れて行かれたというオチである。

 この経験から得た教訓は一つ。

 オ○ンチンが大きくならない男の子は女風呂に入ってもいいということだ。

 俺は天才ではなかろうか。シルフィに何かしらの手段で幼児化させられ、えちえちできない身体にされておきながらこの逆転の発想。俺は自分で自分が怖い。


 女神「私もです。鳥肌が立ってきました」

 それ生理的に無理なときに起きる反応じゃねえか。


 こう見えて俺は哲学——エロティシズムも嗜む男でして。

 諸君は考えたことがないだろうか。男は何歳になったら女風呂に入ってはいけないのか。その明確な答えである。

 俺はこの真理に辿り着くため、四六時中考えていたことがある。


 あまりに熱中しすぎてペーパーテストの氏名欄に『男が女風呂に入れなくなるのはいつか』と書いてしまい、職員室に呼び出され、前代未聞の事件を残した伝説の男である。

 ちなめっちゃ説教された。元神童は伊達じゃない。

 

 しかし頭から熱が出るほど真剣に考え抜いた俺はようやくその真理に辿り着くことができた。我考える故に我あり、である。

 えちえちが俺の存在を証明してくれたわけだ。哲学なんか何の役にも立たないと思っている諸君。それは違うぞ。哲学とは神を解き明かすこと。決して侮るなかれ。


 俺の答は『女風呂に入りたいと願ったとき』だ。

 ここに至ったとき、やはり俺は天才だったと自惚れてしまったほどである。

 女風呂に入りたい。覗きたい。源泉のように湧き上がるリビドー。

 その状態で女風呂に足を踏み入れる自分と訳も分からず連れて来られた子どもの違いはここにあったんだ。


 そしてこの答えは他の問いにも応用が可能だ。

 たとえば人間はいつ大人になるのか。

 それは『子どもの頃に戻りたいと願ったとき』ではなかろうか。


 俺は母親から「今度から男風呂に入りなさい」と突き放されたときのことを現在でも鮮明に覚えている。

 世界の終わり。神は俺を捨てたもうたか。髪を掻きむしり、少食になりながら苦しんだ。

 当時の美月ちゃんは健全なお兄ちゃんっ子で「おかあしゃん! おにいたんが!」と心配してくれたものだ。すごく泣きそうな顔だった。よもや女風呂を取り上げられてそうなっているとは夢にも思っていなかったんだろう。

 

 俺は母の次の言葉を忘れることは一生ない。

「美月! トチ狂ったお兄ちゃんから離れなさい!」

 俺は老後に復讐を誓った。早くお迎えが来て欲しいと心の底から願う報いを受けさせてやると決意した。

 なのに先に逝くのは反則だ。トチ狂った兄を置いていくなよ。


 さて、何を言いたかったのか、毎回わからなくなるのはご愛嬌。

 結局のところ、結論は以下のとおり。

 チンピクしない俺は混浴してもいい。QED証明完了。


 いや、女風呂に入りたいと願ったときなら、お前はダメだろ。さっきの答えはどこいった? などと重箱の隅を突いてくるような器の小さい観測者はいないと信じてるが、その問いに対する俺の答えはこうだ。


「僕、難しいことわかんないー」


 ぶはははは! ぶへはははは!

 ぶはははははははははははははははは!


「シルフィ。アレンがまた気持ち悪い笑みを浮かべている」

「……いつものことよ。それより気を引き締めないと。アレンがおかしな笑みを浮かべたということは新たな指示があるということ。今度は何を見せてくれるのかしら。ふふっ、楽しみねノエル」

「同感」


 気持ち悪い笑み。おかしな笑み。

 ナチュラル罵倒すんなや。

 見た目は子どもでそれは嫌すぎんだろが。


 なるほど。母親はやはり息子のことになると的確だったようだ。

 トチ狂った兄。的を得てやがる。

 

 ☆


 諸君らは風呂の語源を知っているか?

 俺? 俺は知っている。

 女風呂という桃源郷を知ってから俺はありとあらゆる情報を調べたからだ。

 エロは偉大である。無知で何の取り柄ない俺を神童と呼ばれるまで知識を吸収させたのだから。


 ローマ帝国に公衆浴場があったことはなんとなくご存じではなかろうか。

 イギリスの都市、バースにも共同の浴場があったことからバース→バス(風呂)になったそうだ。

 ここで勘の良い諸君ならイギリスって火山ねえだろ。いい加減なこと言ってんじゃねえとツッコミたくなるだろう。どうやら地熱で温められた地下水を利用したそうな。


 さて、まず俺が目指すのはローマの大浴場「カラカラ浴場」である。

 水風呂や蒸し風呂、図書館やスタジアム、ジムなどの娯楽室も兼ねた浴場である。

 最終的にスーパー銭湯にしたい所存。露天風呂に岩盤浴、リラクゼーション施設にレストラン。


「「「土魔法【領域解剖】」」」


 まずはドワーフの皆さんがラアとネクから貸借している森に意識を研ぎ澄ます。

 瞼を閉じて、足元から土の様子を確認。手分けして全域を観察。

 

「見つけた。反応あり。土魔法【掘削】」


 あっ、ちょっとノエルさん! ストップ!

 貴女、事前の打ち合わせ聞いてなかったんですか⁉︎ 反応があったらまず俺に報告。真っ先に報告。俺が【再生】による無限掘削で掘り当てるって流れだったじゃないですか!

 なんでですか? なんで聞いてなかったんですか? そんなに俺から出番を奪いたいんですか⁉︎


 そりゃみんなは良いよ! 風やら土やら火やら水やら。魔力と引き換えに何もないところからバンバン自然エネルギーを放出できるんだもんね!

 けど、ちょっとは俺のこと考えてよ! 【再生】しかないんだよ⁉︎ 

 破損した対象に発動しないなら後は自分にかけて疲れ知らずの身体を利用するしかないのに、どうしてそれすらさせてくれないんだよ!


「ふっ」


 なに鼻で笑っとんねん九桜。

 お前混浴のとき覚えとけよ。

 そもそも温泉を掘るためには1キロはいるんやぞ。前世だと億単位で金が飛ぶんやぞ。

 それをおまっ、なにが【掘削】、地面「ドゴォッ」やねん。便利過ぎやろ。

 いつまで俺のターンスキップしとんねん。これカードゲームで例えたら初めにドローしてからその後ずっと相手プレイヤーのターン&ダイレクトアタックやぞ。

 もうやめて! 俺のライフはとっくに0よ!


「さすがだな。主が一声かけるだけで皆があれだけやる気に。一見何もしていないように見えるのに人望が厚い。本当に変わった男だよアレン」


 脳筋に褒められても全然うれちくない!

 というか褒めてたか今の?

 ドワーフのみんながやる気なのも未知の建設できるからで、打ち合わせで「掘削は俺な!」を平然と無視する連中やぞ? 

 それから一見何もしていないように見えるって失礼なやっちゃなホンマに。

 全否定できないところが全肯定しなくちゃいけない指摘じゃねえか。鬼かよ。いや鬼なのか。

 クソッ、俺本当に何もやってんへんな。


「見つけたわよアレン。これでいいかしら

【発成実】」


 シルフィから受け取っていた植物図鑑で檜らしき特徴のある木を見つけていた俺は調達を依頼。

 点在する源泉の一つの浴槽は総檜そうひのきにすると決めていた。

 エンシェント・エルフのシルフィさん曰く「本格的に魔法を発動してみたかったのよ。ふふっ、楽しみね」とのことだった。

 農作物は【無限樹形図】を描出されたエルフが【発成実】を発動+味の質を一定に保つためドワーフが錬成した肥料で栄養を補充しているが、本来は種子さえあれば魔力と引き換えに成木させることもデキるとのこと。


 なぜ俺は描出できないんだろう。あっ、エルフじゃないからか。

 そんなわけでDIYチートと行きますか。

 あのー、ドワーフのみなさん? 道具はどこにあるんでしょうか? 檜を加工するのも大変ですよね? 安心してください。

 アレン。見た目は子どもでも男ですから。肉体労働を美少女奴隷たちだけにさせるような真似は——、


『【形質変化】』


 お前らモノ作りになったら一切無視やな。手伝わせろ、言うてんねん。ここまで愚直に全集中できる神経、関心するわ。


「あとはこちらでやる。アレンはリバーシしてて」


 戦力外通告!!!!!!!!!!!!!!

 ノエル、チミには失望したァ! 

 可愛い顔して容赦なさ過ぎィ! あとはこちでやるって、俺まだ何もしてへん! 俺もD IYしたい!


 おにょれ……!

「ノエルの言葉に甘えましょうアレン。人には向き不向きというものがあるわ。貴方の(手伝いたいという)気持ちはきちんと伝わってるわ」


 伝わってへん! 一ミリも伝わってへんよママ! 俺にもやらせろ言うてんねん。

 いくら陰の黒幕と言えども今のは無理あるやろ。なんやねん貴方の気持ちはきちんと伝わってるわって。

 伝わってへんから駄々をこねとるんやろがい。それともシルフィさんがおっぱいをこねさせてくれるんか、アン?


「行きましょう。蒸し風呂——サウナの整うだったかしら? とても楽しみだわ」


 と淑女の笑みを浮かべてシルフィは無詠唱で風魔法を発動。ふわっと浮かび上がった俺は彼女の胸元へ。抱っこです。よしよしです。

 あのですね。こちらにも面目というものがありましてね。なんでもかんでもおぎゃらせたら黙ると思ったら大間違い——ママー!


 どうやら俺の居場所はここだったか。


 ☆


【浴衣編】


 さてノエルを筆頭としたチームが「アレアレ浴場(名前はカラカラ浴場を参考)」を建設中に俺はラアの元に。

 シルフィママはお仕事に行きました。

 風に纏われて一瞬で姿を消す前に「ノエルたちの邪魔をしたらダメよアレン。良い子にしてなさい」とのことです。

 

 やっぱり邪魔だと思われてたんですね。

 己の無能っぷりを叩きつけられることで傷ついた俺は癒しが必要だと判断した。


「おうどうしたアレン! また何か新しい衣類でも教えてくれるのか?」


 笑顔で迎えてくれるラア。裏表がなく巨大蜘蛛が歩を進めるためにぽよんぽよんと揺れる爆乳が俺の心を【回復】させてくれる。

 しかも女性は男からの視線に敏感にもかかわらず、彼女は割と疎いところがある。


「実は浴衣ゆかたをいうものがありましてね」

「なんだそれ? それより気持ち悪い顔してるぞ」

 どいつもこいつも俺の顔を気持ち悪がりやがって……!


 お風呂。温泉。美人。美少女とくればゆかたは外せないだろう。

 かつてゆかたは、風呂の中で着る物だったそうだ。昔の風呂は蒸し風呂。サウナみたいなものだったらしく、火傷防止として湯帷子ゆかたびらという着物を着用していたそうな。お湯に浸かるようになって湯上がりに初めて着るようになり浴衣ゆかたとなった。

 

 どうしてこんなことまで知っているのかは諸君らには説明不要だとして、湯上がりの女の子ってどうしてあんなに魅力的なのだろうか。まず石鹸の匂いが鼻腔を幸せにする。


 次に火照って紅潮した肌が目を幸せにする。結った髪も粋だ。うなじの魅力は言わずもながですよね。


「毎回思うんだがアレン。お前の衣服に対する熱量は流石だな! アラクネで染織の天才、ラア様を関心させるんだから凄えぞ!」


 いえいえ。ただでさえ可愛い(お美しい)女の子がドレスアップされて、結果的に俺が幸福になれるんですから当然ですよ。


 ☆


 ラアは俺の説明を確認しながら見事にゆかたを再現してくれた。これによって混浴そのものも楽しみだが、湯上がりも楽しみになった。一度で二度美味しい。


 男としてオティンティンが機能しない代わりにエロティシズムを楽しめると考えるとこれはこれでありかもしれない。


 筆おろしも焦らせば焦らされるほど達筆になるというものだ。

 女神「は?」

 認めよう。今のは俺も「は?」だ。意味不明すぎる。


 さて、俺がラアにゆかた作らせたのにはもちろん理由がある。

 続いて、着物に取り掛かってもらうためだ。俺は九桜を奴隷にしてから鬼たちには一度は着物を身につけさせると決めていた。


 和風美人の鬼。日本の民族衣装がさぞお似合いになるというのが俺の見立てだ。

 もちろん「よいではないかよいではないか」帯クルクル「あ〜れ〜」がしたいというのもある。というかそっちが占めていると言っても過言じゃない。


 IRに舞妓を加えるのも一興かもしれない。巫女もありですな。でぅふ!


「着物の魅力は季節、技術、美意識が一度に感じられるところだと思うんだ」

「詳しく聞かせてくれ」

「着物はころもがえが厳密で季節によって色、柄、素材が変わってね」

「へえ。面白いじゃねえか」

「色は季節を表現。なにより外せないのは模様だよね。吉祥きっしょう有職ゆうそく具象ぐしょう。吉祥は良い前兆という意味だから扇や鶴亀、鯉、有職は幾何学的なデザイン・品だね、具象は華やかな模様かな」


「いいねえ。ラア様も昂ってきたぜ」

 ベッド行きます? いやダメか。俺の下半身いま死んでいるだった。

「基本は染めと織り。だから染織のアラクネにもってこいだと思うんだ。染めは織り上がった生地に模様を直接描く方法。織りは色付きの糸で模様を出す方法だね。ラアは器用だし、立体感を出す刺繍も得意だと思う」


「よし。だいたいわかった。早速取り掛からせてくれ」

 と言うわけで着物づくりがスタート。

 本来、着物は分業でつくるらしい。


 まあ、商品の完成度の高さからある程度は想像できるよね。あれだけ質が良いんだから、各分野の専門が集まっているに違いない。

 糸を紡ぐ。布を織る。模様を決める。色を染める。仕立る。パッと思いつくだけもたくさんの工程があるし。


 ラアの凄いところはそれを一人で全てこなすところだろう。アラクネ、染織の名手という種族は伊達じゃないってことだろうか。

 いいな。俺も◯◯のアレン、みたいなカッコ良い二つ名が欲しいな。


 女神「無能のアレンとかいかがでしょうか」

 もし覚醒編があったらお前、覚えとけよ。叛逆者になって押し倒したるからな。


 女神「あ〜れ〜」

 誰が今言えと。


 さて、そんなわけで紅葉を想起させる振袖が完成。ぞうりもラアの守備範囲ということで用意してしてもらった。


 あとは九桜が喜んでくれたら良いんだけど——。

「なっ、なんだこれは⁉︎ 素晴らしい! 素晴らしいなこれは! 鬼の本能が目覚める!」

 なんか鬼の本能が目覚めているらしかった。やはり俺の見立て通り、和風美人の九桜に着物の破壊力は凄まじい。メスゴリラとは思えない華やかさである。


「ザコの僕。私も欲しい! 良いことしてあげるから私にも作って!」


 と凛ちゃん。ごめんなさいね。生糸に匹敵、いやそれ以上のアラクネの糸を余すことなく使っちゃったので、すぐには無理なんだ。


「ぷくう! お兄さんの意地悪!」

「ふふっ、凛。貴様にはまだ早い」

 と満更でもなさそうな九桜さん。さてはしばらくは独り占めするつもりですな。喜んでもらえてなにより。


 さーて。浴衣も完成しましたし、次回はサービス回ですかな? どぅふ。どぅふふふ。



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