と、机の横にあるフックにカバンを掛け、少しの休み時間、仮眠を取ろうとした矢先に俺に話しかけてきた女子生徒がいた。


 栗色の髪の毛に赤髪が少し入っている。それを左の頭に髪を纏めており、胸は出るとこ出ており、体のラインがすらっとしたスタイル。スカートは校則違反ギリギリを責めた長さ、元気のある少女、佐藤里奈が目の前で腕を組み、仁王立ちしていた。


 佐藤は、クラスのカースト制度でいうと、人気のある女子であり、彼女もまた、俺と同じ部活の部員である。真面目は、真面目であるのだが、アホの子なのである。その残念なところを除けば、完璧美少女と言っても過言ではない。


「それでどうしたんだ? 佐藤。何か、用があるのか?」


「え? あ、うん……。えっとね……、英語の課題を見せてくれないかな~と思って……。私、長文の翻訳をするの、忘れたんだ……」


「それ、俺じゃなくても佐々木に借りればいいだろ。俺よりも頭いいし……」


「そ、それじゃあ、駄目なの!」


 佐藤は、机をダンッ、と叩いて、前かがみになりながら俺を睨んでくる。


 近い、近い。後、制服の間からその包容力の胸が見えているんだよ。いい加減にしてくれ。


「だって、さやちゃんの映してもすぐに先生にバレるんだもん。ほら、私、あまり成績良くないし……。英語苦手だし……」


「そういう事。そんなに成績も普通な俺に英語の答えを見せてほしいと」


「うん。そう、そう!」


 佐藤は、笑顔で大きく頷く。


「ったく……。俺のもあまり参考にならないぞ。それと、全部、写すのだけはやめておけ、すぐにバレるからな」


 俺がカバンの中から英語のノートを取り出して、佐藤に渡す。


「ありがとう。後で返すね」


 佐藤はノートを受け取った後、すぐに自分の席に戻っていった。


 ようやく、朝のショートホームルームまで眠れると思いきや、そんな時間は、もうすでになくなっていた。教室には、放送室から流れてくるスピーカーからチャイムが鳴る。


 そして、俺達の担任である教師が教室に入ってきた。


 それからはいつも通りの朝の流れが始まり、一時限目のチャイムが鳴り、授業が始まる。


 授業が四時限目まで終わり、昼休みを過ぎ、五、六時限目が過ぎていく。


 放課後になると、俺はカバンを持って、再び部室へと向かった。


 佐々木と佐藤は、俺よりも先に部屋へと向かっており、俺は担任教師に呼び出された後、その部屋へと向かうのだ。


 階段を再び、一から上り、四階まで上り終えると、少し呼吸を整える。

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