第570話 デートから帰ってきた
「脇が甘い、それと腰ももっと落とす」
「うん!」
ニロンと槍の修行をしてるとエゼルたちが帰ってきた
もうそんな時間か・・何日経ったんだ
「じゃあ風呂にでも入ろうか、アダバンタス抜きでふたりき・・・・・・・フィルフェリア?麗しの君、この氷は何だね?」
「よく考えてみよ、変態が」
「熟考した上で手を出したいのだが?12も過ぎているし互いの合意があれば問題ないだろう?それとも愛の邪魔をする気かい?」
「これだから頭のおかしいレアナー教と言われるんだ、ニロンよ、こちらで活動する上で貴様は獣人としての代表でもあるのだぞ?」
「思ってもない切り返しだね?」
「こちらには人族しかいない、そんな中で獣人が一人愛を撒き散らすような真似をしてしまえば獣人全てがそう思われるだろう?」
「素晴らしいではないか?ががっ」
「会話を試みた我が愚かであった」
完全に氷漬けにされたニロン
まぁいいや、いつものことだし
「オムライスが食べたい、めろんそーだのそーだぬ抜きで」
「・・・・・なるほど、エゼルたちはオムライスとメロンソーダ食べてたんだね」
「そうだ、オムライスはいいな・・我はこの口ででみぐらすのおむらいすを食してみたい・・・いや、きのこ味とめんたいこ味も捨てがたいが」
「わかった、メロンソーダはいらないの?」
「喉で爆発して大惨事になった」
エゼルとダリア、それにフィルは感覚を共有している
外で何が起きていたのかわかるのだろう
向こうには強い炭酸の飲み物はなかったし注意する前に飲んでエゼルが大変なことになったと・・・
向こうでどんなことをしてたか聞いてみると少し街を見て、民に囲まれて、食事し、玉を打つ鍛錬でエゼルは玉を当たりはするけど剣の癖で全然関係ない方向に飛ばし、ダリアはあたっても全然思うところに飛ばずにバット無しで殴ってホームランゾーンに当てたと
・・・楽しめたのならなにより
群衆からは光る四角い板を向けられたり、奇声を上げて握手と署名を求められ、婚姻契約書を差し出されたり、歩けないほどに人が増えたそうだ
訓練用の時間の早いエリアからでたのでスマートフォーンを見る
『エルフ現る、日本の街を堪能』
『儚き美しさからか攫おうとする輩続出、レアナー教徒によりガードされる』
『フランスのトップデザイナー、エルフの服を作ると発表』
『婚姻届が最寄りの市役所から無くなる』
『専門家によると「大手のエルフ系Vと容姿が似ている方がいてその方がよく「私と結婚したい?なら私に婚姻届を持ってくるが良い!結婚してやろう!住所はユグドラシル三丁目の青い枝二本目だ!!待ってるよ、ちゅっちゅ」というお決まりのセリフがあるからではないかと考察されている』
『ボルボル聖人さん、研究したいと配信で漏らす』
『近隣の道路が歩行者によって車の通行ができない事態に、レアナー教に責任が求められる』
『アメリカ大統領はエルフの日本訪問に対しアメリカへの招待を発表』
街歩いてくるだけでどうしてそうなったんだろう?
「おかえり」
「ただいま帰りました・・ディチォウ、いえ、アオキチキューというのはやはり世界が違いますね」
剣を渡されたので受け取る
神像の並ぶ神殿まで一緒に行って武神ムラザエの前においておく
「こちらにもこんな立派な像があるのですね、向こうでは珍しいのに」
「うん、お酒と鋼が気に入ったみたい」
各々祈りを捧げてさっとお風呂に入る
剣は受け取ったら祭壇や家庭にある神像のもとにおいておくのが礼儀らしい
いつの間にか一番大きくなってるレアナー様のもとにおいてもいいだろうけど、エゼルの神様はムラザエ神だったはず
きっとこれが喜ばれるだろう
風呂から上がって今日はさっさと寝る
エゼルたちもなれない環境と・・車酔いに疲れたらしくすぐに寝ることになった
「エゼル、一緒に寝るのはいいけどなんでそんな薄着なの?」
「この方が殿方は喜ぶかなと・・そろそろヨウスケ殿もお年頃なのでは?」
エゼルとダリアはほんのり透けているつやつやした絹のような服できた
年齢的にはそうなんだろうけど11歳ぐらいからあんまり成長してないからなぁ
「いやそう言われても、僕は成長遅いから」
「そうですか、まぁこの装いも肌がすべすべして心地よかったのですよ」
「触れるのもすべすべしたほうが心地良いだろう?うりうり」
ダリアに後ろから抱きしめられて、そのまま横になった
今日もフィルのお腹で寝る、ルールは療養中の黒葉のもとに行った
「今日は特別だからね・・・洋介、良いわね、嬉しそうで」
少し冷たい声がダリアの向こう側にいるはるねーちゃんから聞こえた
「嬉しいよ、みんな死なずに魔王との戦いを乗り越えられたんだから」
「・・そうだな、我らの誰が欠けてもおかしくはなかった」
「そうですね、こんなに贅沢ができるなんて夢のようです」
「ずるいわね、そう言われたら何も返せないじゃない・・まぁいいわ」
エゼルに正面から顔や髪、耳の裏まで触られる
見えなくなってからはよく顔や身体を触られるようになった
「・・・・・だな、もうちっと世の中マシになればよかったんだがなぁ、クソ貴族共はそう変わるもんじゃねーな」
「寝るまでそっちの世界の話聞かせてよ、洋介の話聞かせてあげるから」
「わかった、そうだな・・仲間にアタマオハナバタケとライオン丸というのがいてだな」
「ひどい名前ね、ライオン丸はまだましだけど」
いい名前と思ったんだけどなライオン丸、アタマオハナバタケは不意打ち気味だったけど
<にまにま・・・>
レアナー様、こういうときは見て無くて良いんですよ?寝てください
「ヨウスケが魔力で溢れてしまって難民に魔力を分け与える前にだな、旅の仲間にも力を分け与えようとしたわけだ」
「ちょっとだけ聞いたことがある」
「それがその二人、ただ、ヨウスケの加護とどっちが強いかもわからないし、下手をすればヨウスケがさらに傷つく、俺らよりも加護が少なくて器の大きそうな二人で実験したわけだ」
アタマオハナバタケは・・レアナー様も手伝って樹人の仲間に「第一印象は?」とか聞かれて「頭お花畑」って答えたらそのまま名前として成立した
僕の魔力のほうが強かったし、身体の結晶化はましになったけど何考えてるかわかんない無口で見た目はほぼ木だったのに十日もすれば頭と股間と手首と足首に花の咲いてるマッチョな変態が誕生した
ライオン丸はライオンの獣人で出会ったばかりのエゼルたちと同じく神の加護が一つしか無くて、自己再生能力持ちで器も大きかったから名前をつけた
なんかうろ覚えな歴史とか漫画で「なんとか丸」ってつければ武士っぽい気がしてライオンの顔だしそう名前をつけた
眠りに落ちる寸前にはるねーちゃんが丸の意味とか言ってた気もするけど、寝てしまって続きはまた朝聞くことにする
――――・・・エゼルは撫でるのが本当に上手い
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