第555話 クラーケン解体とイケさん
はるねーちゃんとエゼルたちが挨拶して、クラーケンやゲーガの処理を手伝ってもらうことになった
アブサンやミード、研究者も呼ぶ、研究者拘束用の魔導具も用意しないとな
エゼルたちをはるねーちゃんにもっと詳しく紹介しないとと思っていたがヨーコに引っ張られた
「女の話し合いに殿方が入り込むものではなくってよ?」
「ダリアもいるし心配なんだけど」
「大丈夫ですわ!・・きっと、多分・・・・・・・やっぱりわたくしも見てきますわ」
心配したが騒ぎになるようなこともなく、すぐにこちらに来た
話し合いとは何だったのか気になるけど見なかったことにしよう
研究者たちには解体によって出てくる毒腺の取り分けや保存を目的として働いてもらう
けど、絶対何人かは邪魔するから暗部の人達に見張っていてもらおう
取り分けて僕が収納するだけのはずなのに、既にスポイトや顕微鏡を用意してるし・・研究用は後で取り分けるのに・・・・・
大部屋に行って解体の手順や刃のいれ方を説明して、チーム分けしていく
今回は大きく切り分けるだけだけど大きな刃物を持った人間が集まって作業するなんて危なすぎる
エゼルが来てくれたから手間は大分減るはずだけどね
「エゼル、アダバンタス頼りにしてるよ」
アダバンタスもその巨体を活かしてきっと重機のように働いてくれることだろう
「はい、まずは私の出番でしょうね」
「力仕事なら任せてください」
クラーケンを取り出す
取り出しただけで滑った粘液が押し寄せてきたがフィルが氷の壁でこちらには届かないように阻んでくれた
大きさだけでも脅威だ
アダバンタスも大きいがクラーケンと一緒に見ると子供のようだ
「大きいですね・・」
「まだいっぱいいるからね」
「なるほど、私にピッタリの仕事ですね」
エゼルが一歩前に出て、和服のような服を脱いだ
「―――――・・・・いきます」
チンッ
「え?なんで脱いだの?白い水着?今なにかした?」
エゼルの持つ剣、湾曲したその刀身を見ることもなくクラーケンは真っ二つになった
巨大なクラーケンを解体するのは至難の業だ
なぜなら倒したところで海には他にも魔獣がいるし更にその巨大さから解体するどころか引き上げることが困難である
回収できたとしても建物よりも大きなクラーケンの解体はそれだけで一仕事だ
エゼルはその剣でクラーケンを空間ごと切り裂いてくれた
はるねーちゃんでも目で追いきれなかったようだ
それよりもビルの崩壊のようにクラーケンの身が崩れ、少し退避することになったが
「ふふっ!ここまで斬りがいのある魔物はなかなかいないでしょう・・・ダリア!」
「はいよっ!」
ダリアはエゼルの横で飛んで全体を見るだけだが、ダリアとフィルの目で見るエゼルにとってはそれで十分
クラーケンを一瞬で大きく分解してくれた
「新鮮なクラーケンなどなかなか解体できぬからのぉ!手際よくやるのじゃ!!」
セーセルリーも風の魔法で分かれた身が大きく弾むのを抑えてくれている
クラーケン崖の上まで触手を伸ばすだけあって巨大だ
海の深さでよくわからなかったけど床に置いて、更に重力でベターッとなってるのに30メートルはあるだろうか?身が震えるだけでも人なんてプチッと潰れそうだ
「大きく切り分けたら収納していくから切り分けがんばろー!」
エゼルの斬撃で大きく切れているとは言っても細かく分解するのにはもう少し細かく切らないといけない
サイズが小さくなったら使う部位ごとに一個ずつ解体すれば良いし・・・問題は貴重な魔石があるだろう本体、それと毒腺や魔導具に使える部位だ
ニロンもナンパせずにちゃんと働いてくれてる
絶対ナンパして回るか酒飲みまくるかのどっちかだと思ったんだけど・・・
「見ていてくれ女の子たち!それと可愛い男の子も!!」
「「「「・・・・・」」」」
取り分けたり、綱引きをするために待機してる信徒たちが見ていたからやる気を出していたようだ
まぁいつもより働いてくれるなら・・僕たちは何も言わない、他の仲間も同意見のようだ
でも仲間の中でもこんなにまともな人ばかり集まっていてよかった、ライオン丸とか素で頭おかしい
貴族が握手しようとしただけで腕ちょん切ったりするし、もし向こうにいても連れてこなかっただろうな
「見ててくれ!この俺の力を!<ブモォオオオオオオオオオオ!!!>オッ!?」
ただこのニロン、伊達男ですぐナンパするけど、調子に乗るんだよな・・・
ミノタウロスに変身して、床の粘液で転けた
すぐに移動して懐の[カジンの捕縛布]で受け止める
「ふっ、ありがとう・・この好意、ベッドの上で返してもよろしゲボォっ??!!!」
「寝言は寝てから言え、殴り殺すぞ」
「ダリア、どーどー」
ニロンがよく言われるのが『勇者旅団の恥晒し』である
犬の獣人が元だけど加護の力で、牛とラクダ、ネズミとヤギと虎と・・ヘビとハトと・・・なんか色んな姿になれる
そして
「おんなのこかーわーいーいー」
「なぁお」
「ヨウスケ殿、このクラーケンの触手は収納していただいてもよろしいでしょうか?」
「シャー・・・・コレ食べデ良イ?」
「ヨウスケ殿、今日もいい尻ですな、脱いでもっと近くで見せてもらえませんか?」
分裂する
それぞれがニロンではあるんだけど、知能レベルに差がある
戦闘においてはなかなか頼りになるんだけ・・・いや頼りになるのは数体かな?
賢いニロンや力強いニロンもいるけど基本何を仕出かすかわからないのである
どれぐらい馬鹿かというと一人だけ別の国に飛び去ってそちらで元に戻っていなくなったり、人様の家で立ち小便をしてたり、敵の魔族をナンパして自分同士で争うこともある
普段は格好の決まったお兄さんではあるんだけど・・それだけに残念、市内地で分裂すると何体かは公衆浴場や水場で隠れてたりもしに行ってしまう
ダリアたちは「殺したほうが良いのではないでしょうか?」とたまに本気で言っていた
特に女性のニロンは男の子をナンパするし、僕を狙ってくるからたまに折檻されている
「聖下聖下」
「ん、どうしたの?」
収納で分けられたものを回収していってると声をかけられた
普通の一般信徒さんだ、もうニロンが迷惑かけたのかな?
「あの粘液で泳いでる毒々しいカエルの人ってイセイケっていいました?」
「そうだね」
あ、前にいるフィルの耳ピクリとこっち向いた
なにかやらかしてたらフィルによって氷漬けにされるかもしれない
「あ、もしかしてイケさんの親族の方でしたか?」
「イケさん・・・?」
「神殿長のおじいさんです、棍棒もってナンパしてた」
あ、池さんじゃなくてイケさんね
ヨーコと久しぶりに再会した辺境の神殿長ホール・ミなんとか・イセイケ
ニロン・ドマイヤーズ・イセイケも「レアナー教で神殿長やってる爺さんがいる」って言ってたし間違いないだろう
「そうそう、あれでもレアナー教の聖騎士では序列高い人なんだよ?」
「な、なるほど・・・」
戦闘においては、頼りになるんだ
それと索敵と道案内、匂いもたどれるし、空からの偵察もできるし、山の中の道も分散して調べられる
ただ・・
すぐに覗きに行くし、すぐにナンパするし、貴族の人妻にだって夜這いかけて牢に入れられることもあるし、道に穴掘って僕らが落とし穴に引っかかったこともあるけど
頼りに・・頼りになる仲間だ
「なんだ、イケさんの親戚か」
「じゃあしかたねーべ」
「んだんだ」
信徒たちもなにやら納得しているがホールもこっちに来た時になにかやったのかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます