第480話 回転寿司
変身ができるようになったのでそのままご飯を食べに行くことになった
城でも大抵のものが食べられるのだけど息抜きと・・・気になることもあったのだ
どうせなので美味しいと評判の回転寿司を食べに北海道に【転移】した
寒い地域の魚は美味しい、らしい
「<これでばっちりですぅ!>」
「そうですね!」
「だな!」
「ですわ!」
「おいしーもの、食べたい」
「・・・・・」
「それで変装してるつもり?」
駄目だったようだ
レアナー様は普段と違って黄金に輝く羽根のマントでゴージャスなセレブに変装している
僕は子供の身長のまま戻すのは身体が痛くておっぱいある女の子モード
ボブは地味なセーターを着てサングラスをかけた、筋肉があって地味な格好が全然地味じゃない
ヨーコはヒゲ付き眼鏡とスーツとステッキ、それに丸いパイプを口にくわえている、探偵アニメのキャラの格好だよね?それ
食べ物と聞いて起きてきたミルミミスはそのままだ、人の姿になってもらったが身長は2メートルは超えていそうだし、立派な角と、立派な羽根と、立派な尻尾がある
せーちゃんは僕の後ろで何かをポリポリ食べていたがちゃんとレアナー教の大神官よりも豪華な服である
「私たちは正装です」
「ミルミミスが目立つね」
「たしかに・・」
「<貴様ら正気か?>・・・・まぁいっか」
はるねーちゃんの中のチーテック様もなにか声を上げたが問題ないだろう
強いて言うならミルミミスは下着を穿いてないのがよくないね、元々ポンチョってタイプのかっぱらしいし
なにか忘れてる気もするけど回転寿司に行ってみた
「い、いらっしゃいませ、8名様でよろしかったでしょうか?」
「1神と7人です・・じゃなかった、8人であってます」
「・・・・テーブル席は6名様までですので分かれることになりますがよろしいでしょうか?」
「はい」
「ご案内します、こちらへどうぞ~」
回転寿司、すごく珍しいよね
そもそも生の魚っていうのが珍しい
「何かございましたらお手元のスイッチでお呼びくださいませ」
「あ、持ち帰りの注文良いですか?」
「はい、お伺いします」
「僕たちが帰るまでに色んな種類のお寿司、作れるだけ作ってもらってもいいですか?」
「えっとご注文は正確にしていただかないと・・・いえ、少々お待ちくださいませ、担当者に代わります」
店長さんが出てきて特別に作ってもらえることになった
内容は他のお客さんに迷惑の掛からない程度に作れる範囲で色んな食材で作って欲しいというものだ、先に200万円ほど渡そうとしたが会計は後らしい
席ははるねーちゃん、レアナー様、せーちゃん、ミルミミスで一つのテーブルだ
それと僕、黒葉、ヨーコ、ボブ
はるねーちゃんと黒葉は別の席にいないといけない、回転寿司がわかるのは2人だけだ
残念ながらはるねーちゃん達の席とは少し離れてしまった
「アメリカにはお寿司はないの?」
「んー・・あるにはあるけど米が硬かったり酢がツンときつい・・値段も基本的に高い、この店は何が美味いんだ?」
「タッチパネル見ます?」
「いや、何でも食うし適当に注文してくれ」
「黒葉お願いできる?」
「わかりました」
回転寿司の中でも美味しい、有名なお店らしい
近くでもあると思ったのでだけどとーさんが
「回転寿司を忘れたんだったら・・・美味しいとこ行ってくると良い」
「どうして?」
「昔良くないとこに当たってな、嫌な香りのする魚と不味いウニを食べてからあんまり好きじゃなかっただろ?」
「そうだっけ?とーさんたちも来る?」
「いや、外出るの怖いし・・土産に期待する」
「そっか、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
なんて言われたんだった
食料は必要だったしお寿司屋さんのフードロスをどうにかするのにお寿司は回収したけどあえて選んでは食べなかった
黒葉の選んでくれたものは一通り食べてみるがどれも美味しい
ウニは海の味が口に広がって独特の風味が広がるが醤油と海苔と相性がいいのかとろけるように美味しい
ブリを食べて思い出したけど僕これが苦手だった、なんか臭いやつを食べたことがあるはず
でもこのお店のはぜんぜん違う
魚の脂が飲めるように美味しい、醤油もうちょっとつけたほうが良かったかな?
「ちょ、レーンのは食べちゃ駄目!」
「<おいしーですぅ!>」
「取ったやつなら食べていいから!!ちがっそうじゃな・・・」
バサバサという翼の音とともにはるねーちゃんの叫びが聞こえる
向こうのテーブルは見えないが声を聞くに大変そうだ
「お肉美味しいですわ!」
「天ぷらは前に食ったがエビフライと天ぷらってどう違うんだ?」
「えぇっと天ぷらはフライした・・じゃない、揚げ方やつける衣の種類が違うんですよ」
「なるほどな」
色々食べてみたがカルビ寿司は何の魚なんだろうか?
牛肉の味がするなんてすごい技術だ
ボブはホタルイカにビビっていたが・・それ本当に食べ物だよね?
「そもそも生の魚を食べるのは凄いですわね」
「たしかに」
「どうしてですか?」
「だって水の中の魔物は強いし、なかなか倒せないからね」
単純に人間は陸上の生き物だ
水の中の生き物のようには動けないし息もできない
日本と違って熊よりも強い生き物が水を飲みに来るし、魔法で攻撃してくる水場の魔物も居る
水場というのはそれだけ危ないのだ
しかもうまく漁が成功しても魚には毒を持つものもいる
だから向こうでは釣り人や漁師という生き方がなかなか成り立たない
船を出して船よりもおおきな魔物に船ごと一飲みにされ、網を使うたびに網がダメになるのならなかなかうまくいかないはずだ
弱い魔物や安全な地形でなら漁は出来るけどそういう海ばかりじゃないしね
「まぐろ!おいしーな!!」
「あ、こら!自分のお皿の分を食べなさい!?」
お店の中ではるねーちゃんのところだけ、ものすごい騒がしい
黒葉も向こうにだけは顔を向けない
と言うか僕がよく食べるようになったからお寿司の注文いっぱいしている
「そういえばこのお寿司って・・なんだっけ、ボブ、水銀中毒がどうとか言ってたよね?」
「あぁ、日本人は寿司を食うのに水銀中毒を気にしないってマジなのか?」
「水銀って毒ですわよね?どうなのです?」
「えぇ・・聞いたこと無いんですけどアメリカだとそういう認識が有るんですか?」
「あぁ、テレビでもよく見たが違うのか?」
「日本だと体調の悪いときや妊娠時にはやめましょうってのは聞いたことがありますが・・・調べてみますね」
生魚というのは大丈夫なものなのか?
美味しいか試すのにどうせなら美味しいお店に行こうと思ったわけだ
本場は銀座ってやつらしいけど回転寿司ではないらしい、回転寿司が良いのだ
「美味しいけど危険なものに見えてきたね」
「アメリカの最高級品よりもここの寿司のほうが美味いぜ!店員さん!チップだ!!」
「当店はチップの制度はないので大丈夫ですよ?」
「あ、そっか?いや作った人に渡すならこの動いてるレーンに置けばいいのか?」
「機械の故障の原因になりますので・・お気持ちだけお受け取ります・・・後ほどサイン頂けますでしょうか?」
「おう良いぜ!そのシャツでいいかい?」
「え、あ、その、はい・・・・」
その場でお寿司屋さんの和服にペンでサインを書き始めたボブ
その間にもどんどん食べていく
「ところで元杉、何故回転寿司ですの?」
「ん、考えてることがあってさ」
お寿司と言えば回転寿司というのもある
黒葉たちにも僕の考えを聞いてもらう
僕の持つ領地はレアナー教国だけに有るわけではない
他の国にも領地は有る
ただ瘴気を祓うのと難民たちのことを考えるとレアナー教国の横の領地が最も良かったのだ
レアナー教国は難民に対して殺しにかかるということはなかったし、人が集まりやすい
僕に最大の加護を授けてくれたのがレアナー様だし旅の最中にその土地に僕が戻るのも普通だった
他の領地は行ったこともない場所もあるが、基本的に食糧生産のために頑張ってもらっている
向こうの世界はこっちと違って食糧難だしね
その中にうまく行けば安全に漁ができそうな地形がある
魚が美味しいならやる価値もあるというものだ
「漁ができるなら道具はこちらにあるでしょうし良いかもしれませんね」
「でしょ?」
・・・それにしてもテレビというものは凄い
価値のある情報が簡単に見れる、うまく行けば僕の収納もあわせて魚がいっぱいとれるかもしれない
海じゃなくて川だって、こちらの何らかの技術を使って凶悪な魔物さえ対策できれば食べれる物が増えるかもしれないな
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