第481話 忘れ者してた
結局お寿司屋さんで一番美味しいものはカルビ寿司だった
次点で茶碗蒸し
いや、美味しさだけで言うと中トロとかブリのほうが美味しかった気もする
けど、こう、やっぱり生の食べ物は危険って拒否反応があって純粋に楽しめなかったのだと思う
お寿司は帰ってきてからも食べたけど茹でた海老や卵にうなぎばかりに手が伸びてしまう
勇者になる前はマグロが好きだったと思うんだけどな・・
でも生の肉って食べるとお腹痛くなったりするし仕方ない
お寿司は大量にお土産を買って帰ると喜ばれた
ボブは魔力を感じて使うことが出来たとかで聖騎士部にトレーニングしにいった
打倒ムラタとか言っているが・・・そんな強い男の人いたっけ?
レアナー城では一般信徒たちがものすごい勢いで料理を作ってくれているので収納に入れていく
世界から集められているコンテナや周りの畑からも野菜を買い取って料理を作ってもらっている
食料はあればあるだけ良い
ミルミミスは寿司は気に入ったようだけど量が物足りなかったようで食堂でご飯を食べまくっていた
はるねーちゃんは疲れ切って座ったまま動かなくなってしまった
調べてくれた黒葉によると寿司の水銀がどうだとかいう悪い部分についてだけど状況や環境によって食べるのはよろしくないのは間違いじゃないらしい
例えば川魚、水質で魚の身が泥臭くて食べられたものではない
それと同じく海の水質でも魚に問題が起きるのだ
世界的に調べてみると工場からの排水や、下水、鉱山の排水、造船所など・・水質は魚介類の品質に大きく関わるそうだ
なるほど、都心近くや大阪の道頓堀、造船業で栄えていた街の海は沖縄の透き通った海に比べて透明度が酷く悪かった
空を飛んで上から見てみると海の色の違いって結構違うと感じる
そういった海には工場から流れて溜まった汚染物質や、船の塗料が沈殿しているそうだ
身体に悪いに決まっているよね
そういった場所で穫れる貝は毒素を多く含んでることもあるのだとか
それと常識として綺麗な海であっても食べ過ぎというのはよくない
栄養が偏るから駄目なのだそうだ
「調べてくれてありがと」
「いえ、いってらっしゃい」
異世界に行くとランディがいた
・・・・・・・・・・・・・・ランディ!!!??
「おかえり」
「ごめん忘れてた」
「HAHAHA!ボブは?」
「聖騎士部でボクシングしてるよ」
「ん?えっと、あれ?・・・・・俺のことは聞いてない?」
「聞いて、ない、かなー?」
「ぶっ飛ばしてやる!!」
「まぁまぁ」
「おかえりなさい、お父様」
ロムがドレスでやってきた
ロムにはやってもらいたいこともあったし一緒に来てもらおう
「ロム師匠ちょうどよかった、あ、この前はごめんね?」
「いえ、気にしないで!大丈夫よ!ボクは師匠だからね!頼られて嬉しかったっていうか!」
師匠は僕に行儀作法や魔法の基礎も教えてくれたし吾郷達は偉い人だから相手をしてくれて助かった
僕は敬語とか出来ないけどロムは、ロム師匠はそういうところはきっちりしてくれる人だ
「今こっちどうなってる?一緒にご飯食べよっか」
ロムにもお寿司を食べてもらってまずは魚の価値をわかってもらおう
「これは・・?」
「お寿司」
「とても綺麗だけど・・何の料理?」
「ご飯と生魚」
「生の、魚・・・?誰が用意したの?」
「黒葉だけどどうかした?」
「・・・なんでも無い、美味しいの?」
「この醤油とワサビをつけて食べるんだ」
真っ赤なマグロにホタテにイカ
とても美味しそうである
テーブルに出して一つ食べてみせる、やっぱりすごく美味しい
マグロって色はともかくすごく味はいいよね
変身しておなかすいてたから回転寿司でもいっぱい食べてきたけどいくらでも入りそうだ
今はいつもの姿だけど、今度ロムを驚かせるのに変身してみようかな
ミルミミスも人の姿でバクバク食べていたのを見てロムも食べた
「ごっふごっふっ!!!??」
「ワサビ全部いったの!?」
ミルミミスは高速で口に含んで食べていたのだけど、ワサビも塊でいってた
それを見てワサビの塊を躊躇なく口に入れたロム
全部吐いてしまったロムの背中を撫でてあげる
収納からペットボトルを開けて渡す
「毒じゃないから大丈夫、飲んで」
「だっいっ!じょう、ごほっ!!なんこれごっふぁっ!!!??」
「あ、炭酸だったごめん」
渡したのはメロンソーダだった
しばらく悶ていたロムだったが倒れて上を向いた
「はぁ・・はぁ・・・・お父様・・・心臓が止まったらあの時みたいに・・口づけ、してくれる?」
「なにそれ?そんな事あったっけ?」
「酷い!!?」
飛び上がった師匠に両方のほっぺを引っ張られた
あれ?これ僕そんな事したんだ?
師匠はしっかりとしたかっこいい大人だ、わがままだし流行に流されやすいところがあるけど理不尽なことはしない
ということはリュートギーン様に僕がなにか頼んだのかな?
<タノンダ>
「<なるほど、その時の記憶教えてもらえます?>」
<ワカッタ、コンド『メロンソーダ』ゴブレットニサンバイホウノウシロ>
<あ、私も欲しいですぅ>
「<はい>」
レアナー様以外が声をかけてくるなんて珍しい
加護を授かった神官が近くに居るのかもしれない
・・・・なるほど、人工呼吸して煽られたのか
「人工呼吸じゃん」
とりあえず食べれなかったロム師匠が可哀想だった
「ロム師匠、なにか食べたいものある?お寿司全部ミルミミスたちが食べたみたいだし」
「うまかった!Fooo!!」
「・・・・・」
ランディも負けずに食べていたみたいでこちらに親指を立てていた
と言うかこの人、護衛もついていなかったしこっちでどうしていたんだろうか?
両手についた酢飯を舐め取っているミルミミスは静かだ
「<前食ったやつが食べたい!洋介たん!>」
「え?師匠?」
「<かれーだ!くれたら結婚してやってもいいぞ!!>」
「あぁはいはい」
カレーって言うと幾つか種類がある
そういえば近所のインド料理のお店でカレーの残り全部もらってきたやつがあったはずだ
「はいこれ、カレー・・・・・ミルミミス、待って、どうどう」
「これもカレー・・?ぜんぜん違うじゃん?オショーの作ったカレーは?」
「こっちで出したやつだけだよ?」
「ふーん、でこれは?」
「近所のお店で売ってたカレー」
カレーだけじゃ物足りないかな?はるねーちゃんの作っていた焼肉とカレー屋さんのサラダとナンもだす
ミルミミスは食べる量がものすごく減ったけど建物サイズの竜だったのに比べればであって、普通によく食べる
「幼子」
「はいはい、こっちの師匠の分だから食べちゃだめだよ?ランディもおかわりいる?」
「もう腹いっぱいだから大丈夫」
既に待機しているレアナー様の分も取り分ける
ナンは一枚ですごく大きいから・・大丈夫かな?
「幼子」
「じゃあ食べていいよ」
「<これも美味しいな・・・ほら契約完了だ、後でうちのロムたんやるからな、レアナーそっちのくれ>」
「<とらないでくださいぃ!?>」
「まだあるんで喧嘩しないでください」
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