第452話 大躍進!コリントくんの望まぬ昇進!
もうこの宗教に関わりたくない
下手したら捕まって何をされるかわからない
絶対に母国を裏切ることはないとされていた軍隊出身の屈強な男ですらレアナー教に従順な狂信者に変えられてしまったという資料を見た
泣きそうなぐらいここに居たくない、私には妻子もいる
本国の対応や私の現状にモチベーションは最低まで下がったがそれに反して会場の熱気は燃え上がっている
『異世界のその辺に転がっていた石』
もうちょっと売り方があるだろう・・・だが、この石には新たな原子が入っているかもしれない
異世界の証明ができるかもしれない、エネルギーが取り出せるような物質がはいっていて・・・更にいつか交易が出来るのなら将来戦略物資となりうるかもしれない
国家はありとあらゆることを想定し、対処し、何事にも有利になれるように努力し、進歩し続けねばならない
可能性があるのならカードは多い方が良い
何か買って研究しただけでも『研究しリードしている』という他国を牽制できるカードが手に入る
研究に結果が出なくてもプラスになる・・が、もちろん結果はでたほうが良い
なにかの発見ができればそれは国威にもつながる
そのための金だ
そもそも彼を向こうに連れて行ったのも魔法だそうだし、こちらの世界といつか大きくつながるかもしれない
交易のための交渉カードにも・・・可能性は無限大である
血で汚れた武具、色々突っこみたいこともあるがものというのは視点さえ変えれば価値が変わるのだ
きっと彼にはゴミなのだろう、だが宝でもあると断言できる
革と血は向こうの生物について知れるかもしれない、金属も異世界の製鉄技術や埋蔵される鉱物の予測ができるかもしれない
このオークションは一体いつまで、どれだけの数を売ってくれるかはわからない
目玉商品もあるかわからない、金も持ってきただけ、外部との連絡も取れない
明らかに裁量権があるものとそうではない現地で対応しているエージェントでは札を上げる気概が違う
私も上からプッシュされているからこそ湯水のように金を使っているが、後で上がどう判断するかで頭が痛い
ゴミを買ってきたと怒られるのか、宝を買ってきたと褒められるのか
これ、下手したら役職を失うな
ドバドバ使ってるのは私の金じゃない、国家の金だし
大きく使っている金もこれだけレアナー教の事業に金を使っているというアピールも出来るはずだし・・・・あぁ、しかし、どう言われるのか、現場の直属の上司はキレ散らかすこと間違いなしだな
最悪は刑務所行きになるかもしれないような金額を、異世界の物品とか絶対に目利きの出来ないものに支払い続ける
手に入れた物品の共同開発の申込みはオークションの開催予定を知らされた24時間以内に同盟国同士で水面下で取り決められている
だからこそ莫大な金額が惜しみなく使っている
上司も上司で命令すれば何でも叶うと思っていやがるのか、それとも失点を願っているのかむちゃくちゃ言ってくる
だから部下に任せようとすれば銃を取り出して「足を撃てば病院にいってきてもいいですか?」なんて言いやがる・・わかるよ、こんなばかげたほどの金を動かすのに責任者になれなんてふざけてるよな・・・
日本人はかわいそうに
騒動があったからか招かれてすらいない
まぁ私は私の仕事をしよう
彼の反応を見るに彼から見ると出品物は多分ゴミだ
魔法の薬、魔法の道具、王様の・・異世界で最上位のなにか
見た目も訳の分からない『品名不明』の物品まで競り落としまくる
・・・・あぁ、転属、いやきっと降格処分は免れないな
購入を示す札を持ち上げるがこれこんなに重かったか?
腹が減る時間、パーティでやっと不快な仮面を外せたが白く燃えるように光る石を渡された
後は好きに料理を食べて帰ってもいい
彼とも話したかったが神様となにか別席でしていたようだしこの光る石は魔法の力が宿っているのが見て取れる
すぐに帰って研究した方がいいということで大半は急いで帰った
袋に入れて帰るものや触らないほうが良いと考えたのかスーツを袋にして持ち帰るもの、恐る恐るハンカチで手に取ってアタッシュケースに投げ込むように入れるものもいた
帰りの山道、下手したら血の池とか出来てないか心配である
莫大な金銭と価値がつけられないほどのも異世界の物品
殺してでも奪い取ろうとするものも居るだろう
滅茶苦茶な金額使ったし、これから俺どうなるんだろうか・・・?
一応一番買ったということもあって会場から出るのを最後までいさせてもらえた
部下が積み込みで大忙ししている、私は残ってなにかアクションがあるか待機しろということだ
精神的に疲労しているのもあるが私はもう見ているだけだ
会場内で神官や残った人に名刺交換したほうが良いのではないかとか営業トークをするべきだという意見もあるが私は慎重に事を進めたほうが良いと考えている
おかしな営業をしたものは基本的につまみ出されているかどこかに連れて行かれているし、どう考えてもマイナスにしかならないだろう
「ジェームズさんだよね」
「はい」
「そんなにこれが食べたかった?どうぞ」
「え?あ、そういうわけでは・・いただきます」
疲れ切って、彼がケーキをどこかに運んで消えていくのをなんとなく見ているとなんと彼が近づいてきてケーキをくれた
と言うか覚えてたんだ?
「いや、だってビルの屋上に登ってくる外国人とか普通に怖いよ」
「あれは、まぁそうですよね」
たしかに、客観的に考えれば撃ち殺してもおかしくはないな
当時もバリヤーを回避できないかという会議であーでもないこーでもないと時間ばかりが経過して「登っちゃえば良いんじゃないですか?」と適当言ったらじゃあお前が行けよとなったのだ
雑談程度に異世界について話して、糖分で復活した私は出来得る限りの活動をして・・・・フラフラになりながらなんとか帰ることが出来た
報告書は帰りの運転途中にボイスメモで残し、後はもう寝た
上司からの電話?知るかヴォケェ!!
「なんて?」
「よくやったコリントくん、君の素晴らしい成果を称えて君に新たな権限と役職を与えることとなった」
「・・・・・」
「レアナー教の現金主義を見抜き、アメリカに莫大な富をもたらしてくれた君には少々足りないかもしれないが現地で新設されるレアナー教対策本部を任せることとなった」
「・・・・・・・・・・・・・」
「彼らと面識のある外務副大臣、次期外務大臣に内定しているホワイト副大臣直属となる、緊急時における大統領及び副大統領、そしてペンタゴンへのホットラインの権利も付与される」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「君に肩書があったほうが動きやすいという判断だろう、君の天才的な働きを邪魔しようとしていた無能な上司はアラスカに飛ばした・・・・・君の将来は明るい、これから君は私の同格だ、おめでとう」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ありがとうございます」
そして私は昇格した
・・・・・・・・・どうして?
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