第426話 ゴブリンキラー


洋介が魔法使いを育てようとしている


魔法の中でも安全なものを教えていく予定だが必要があるのだろうか?


洋介もそうだけどレアナー様にもなにか考えがあるのだろう


ヨーコと洋介的には合理的なのかもしれないが怪しい


生徒の立場で考えてみたとして・・・



1.大学のような教室に入る


2.茎と怪しい水を渡されて飲んだり見たり齧ったりする、後ひどい味のスープもある


3.軽く「魔力は人が使えるようになるには慣れや適正があるので感じてみてください」って説明


4.説明無く入ってくるガタイの良い・・謎の集団、真っ白く全身を覆った装束で見えるのは目だけ、そんなヤバイ奴らが、儀式のように一斉に同じ動きをする



テストで来てもらった信徒の子供なんて泣いちゃったからね・・・



学校の開設自体はまだかなり先になっても良いそうなのでしっかり準備することにする



「こういうのって簡単にできたりしないのかな?」


「人族のことは詳しくはないのですが・・ドワーフであれば鉱石を掘っていくうちに良し悪しがわかるようになってくることがありますが」



1.生徒を呼ぶ


2.穴に連れて行く


3.魔力を感じるまで穴を掘ってね



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・駄目だな、通報ものである



「魔力のこもった鉱物などはわかりやすいと思うのですが・・そういえば母上、ダンジョンで見つけた財宝を使ってはいかがでしょうか?」


「そんなのもあったわね」



私の収納袋にあんな重たいものは入らなかったので向こうの世界に置きっぱなしになっている「なにかあったら使って」と言っておいたのでもう無いかもしれないが・・・



ちょうどいいので見に行ってみよう



関羽も装備をガンガン作っているけど向こうから鉱石を取りに行きたかったそうだ


関羽は私にも新たなハルバードを作ってくれた


前のように中が空洞のものではない、芯まで金属の詰まったごついハルバード


以前関羽の使っていたものよりもさらに重い


だけど今の私なら軽々と振るうことができる



関羽のは・・・ゲームの関羽が使うような龍が彫られた矛だ



なにやら自信満々である、こういうのもコスプレっていうのだろうか?




領地に行ってみると怪我人や病人、そして神官が溢れていた




「良い光景ですな」


「なにが!?」


「彼らは奴隷だったのでしょう、使い潰されて死ぬよりよほど幸せでしょう」



よく見ると汚れて、痩せている


肘から先、肉がついていない、肋骨も浮いて見える



「酷い・・」



隣の国の奴隷だったもので特に健康状態の悪いものはここまで運ばれてくるそうだ



戦争だし、ここはレアナー教国で最もザウスキアに近い



神官達の中でも戦えないものはここで兵士や奴隷たちを癒やしているそうだ


兵士も倒れているが、それよりも奴隷の数が多い


明らかに『使い潰されている』のが見て取れる


洋介はここで治療し、収納から食料を出す


私は・・



「ふんっ!」


「ギギャ!!?」

「ギィ!!!」

「ギャギャギャギャ」


「ゴルルル!!」

「ブルルル・・・プゴッ!?」



ヨーコとルールとともにダンジョンに潜っている


ゴブリンを纏めて薙ぎ払い、巨大なイノシシもどきはルールが首を落とした


角が6本あるイノシシは睨み合いしていたはずのルールがいつの間にかイノシシ横にいて、地面を叩くような仕草をした


なのに風か魔力の刃がイノシシの身体を貫通した


褒めてほしそうに近付いてきたので遠慮なく撫でておく



ヨーコは緊急時のバックアップと戦闘の指導だ



廊下の角、ゴブリンが2体とオークが1体



「いくよ、チーテック」


<おうよ>



まだ気が付いてない様子だ


フル加速で壁を蹴り、身体をフィギュアスケートのように回転させてハルバードで首をはね飛ばす


「ギギィィィィ」

「ギギ?」


腕がすこし痛む


新しい武器の重さが変わったこととチーテックの加護の強化が増したことで少し制御を失敗した


全身で振るうものなのに腕で振ってしまった


ハルバードを手放し、残った勢いで壁に足をつき・・一気にゴブリンに向かって加速する


ゴブリンの間を抜けるように、二振り



「甘いですわ」



私の剣は一体を確実に仕留めたがもう一体には首の皮を切っただけ、一体目のゴブリンを斬った抵抗がもっとあると思ってすこし外してしまった


ヨーコがそのゴブリンの首を落としてくれた



「ありがとう」


「いいですわ」



何体かの獣もいるが人形の魔物で練習を積む


ルールもここのところ運動不足だったのかやる気満々だ



ゴブリンを狩りまくって、財宝を回収する



洋介から預かったいくつかの収納袋にどんどん財宝を詰めて行く



私達も領地で炊き出しを手伝えればよかったのだけど私達がいると周りがとてもやりにくそうにしていた


日本で吾郷さんがいたとして、首相夫人が横で作業してたらやりにくいようなものだと思う


それに、こうやって魔法使いの育成のために使えそうなものをとってくるのも巡って外の彼らの役に立つはずだ


うん、魔法学校に使えなくても武器に鋳直したり出来るし、武器そのものも拾ったりもしてるもんね

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る