【完結】少年神官系勇者―異世界から帰還する―

第416話 許せない暴言

侵入者がいたことにも驚いたけどまさかこんなことになるとは・・・

更衣室を調べると服や化粧道具も多かったことからスパイか何かの可能性もあった

スマホは初期状態に近く、アドレス帳は空だったことも怪しすぎた

超小型の録音用ICレコーダーに超小型カメラ、電気工事用のハサミのようなものも入っていた

元杉神官が柱ごと部屋に運んでくれて助かった

醜態が、すぎる

地肌にガムテープで何か胸作ってる

胸毛も相まって大変に見苦しい

フローラルな香りもする、トイレで漂ういい香り

きっと道端でこの状態を見かけたならそっと目をそらすか通報するべきだろう

元杉神官の置いていった服

男性用の服もあるけど・・・・・・・・・・ドレスもある、お父さんはそういう人に思われたのかもしれない

・・・・・・・・・・・・最悪だ

「何やってんのお父さん、だいたい分かるけど」

「奈美が心配で・・見に来たんだ」

「むちゃくちゃしないでよ、フィンリーちゃんに謝ってよね」

「・・・だれ？」

「元杉神官そっくりな女の子よ、お父さん更衣室に連れ込んで脱がそうとしたんだって？」

「誤解だ！！」

誤解だろうね

だけど女の子を更衣室に連れ込んでひん剥こうとしたのは変わらない

後で土下座させないといけない

「お前が親友って言ってた、春日井遥、彼女だってネットでビッチだとか援助交際ってよく出るし、この宗教だって怪しいじゃないか！？だからお前が心配で」

「お父さんの馬鹿っ！！！遥は私の親友で！お父さんでも悪口は許さないよ！！！」

怒りで肘で殴ってしまいそうだ

その悪評は確かにネットで言われている

坂上達の発した根も葉もない噂だ

「客観的な評価だ！！そういう友だちがいることでお前がどう思われるかが心配で「＜余計なお世話！！！！＞」

親友のことを悪く言われてキレそうだ

ムチで殴らないのは残った理性、流石に動けない状態で尊敬・・尊敬しているお父さんを鞭打つのはだめだ

通報して連れて行ってもらいたい、しないけど

「お前が婚約とか聞いて！『レアナー教の黒葉奈美』なんて遠い世界の知らない人かと思ったらまさかの娘だよ！？だから調べに来たんだ！！」

「はぁ」

言ってなかったもんね

言えるわけがない「お父さん、私、宗教に入ったの」なんて

だから私がお母さんを治せるようになるまで、私が立派になるまで黙っているつもりだった

打ち明けるまで後たったの数カ月の予定だったのに・・・・・最悪だ

自分の愚かさにもため息が出てしまう

「何だそのため息は！？？まともに聞いても隠すかもしれないだろう！！」

「まぁわかるけど」

「それに相手の男だよ！！奈美含めて3人が結婚相手？ふざけやがってぶっ殺してやる！じゃない、信徒も爺さんも、男にも手を出してるとか！？12万人ってなんだよ！？！信徒皆お嫁さんってかクソが！！！ヤクザが関係してやばい女が、お前と同じ大学の子つながりでお前がなにかやってるとか！！！完全に洗脳されてるだろ！！！目を覚ましてくれ！！！！！」

「・・・・・・・」

確かにそういう世間の評価もある

私もお父さんかお母さんが宗教に入って中核の人間になったなんてなったら、そういう心配をしてしまう・・・かもしれない

「挨拶にもこない！！尻軽なビッチと付き合う！お前を二番三番に蔑ろにするクソ野郎！！だから調べに来」

ﾊﾟｼｯ

聞くに堪えず手が出てしまった

お父さんから、二人のことを悪く言わないで欲しかった

「＜お父さんなんて・・・・・お父さんなんてだいっきらい！！！＞」

言ってしまった