第391話 第一回レアナー教クリスマスイベント
クリスマスの時期には様々なことを様々な国で行っている
だけどレアナー教もまた別のことをしようということが決まった
私と遥がそれに気がついたのは、大学からの帰り、既にレアナー様の鶴の一声で決まった後だった
「レアナー教でーす、クリスマスで未婚で孤独な一人ぼっちの人はいませんかー?」
「喧嘩売ってんのか!?」
「本気でーす」
「なお悪いわボケぇぇ!!!??」
「独身者限定でレアナー教でパーティやってまーす!」
「ごめんなさい、行きますぅ!!!」
東京の池袋、大阪の梅田で急遽呼び込みを行って人を集めた
決められた時間に元杉神官が転移で運ぶのだ
レアナー教では既婚者同士でも他人に愛を囁いて問題はない
が、ここは日本であるし、せめて日本の常識に則って未婚の人間に限定してパーティーを開くことにした
会費千円(軽食代)、酒はなし、泊まれる部屋はあり、翌日の12時に元の場所まで集団で転移すること、入信と寄付は歓迎
洋介チャンネルで予告して次の日には人が集まっていた
話の種になると考えたのか、人気なレアナー様が見たいのか
何にせよ未婚の人達が各地から駆け込んできた
本当はもっと多くの場所から人を集めたかったそうだけど流石にパニックになりそうだと言うことで募集をかけたのは大阪と東京の二箇所のみだ
スタッフはレアナー教の既婚者、皆何故かニヤついている
うん、レアナー教に入ると心の安寧というか余裕ができるしちょっとわかる
六太さんを筆頭に近隣の孤児院にレアナー教から集めた物資をサンタとして行く
直子さんは信徒達の中で料理のできる何百人も使って料理を作り続けている
まさにマンパワー
「レアナー教クリスマスイベントにお越し下さりありがとうございます!」
「レアナー様は愛の女神様、クリスマスというものを知って早速このイベントを企画しました!」
「日本ではしょーしこーれーかというものや未婚の人間がたくさんいるなどと聞いてこうやって出会いの機会を作りました!」
元杉神官がマイクで話しているが言いたいことはわかる
私は昼過ぎの講義までは出ないといけないのでレアナー城内の有線テレビの中継で見ているのだけど頭が痛い
会費の1000円は食費の実費がこれぐらいだろうと考えたらしいが人件費などはレアナー教持ちだ
神様の提案だし、取らなくてもいいと考えていたがカウンターによると2万8千人、まだ増える
そんなに城のキャパシティーはないと思っていたが拡張すれば余裕で入ったそうだ
最低限のお金をもらっていてよかったと安堵する
ちなみに独身者は【転移】以外の方法でも車や電車で来ているらしくまだまだ増えている
山道いっぱいに人がいるんだろうなぁ・・・路駐してる人達も居るだろうし・・・・・また警察沙汰になりそうだ
ただレアナー教の信徒になった家族や親戚にも独身者はいるそうでこちらにもメリットはあるし、何よりレアナー様が喜ぶ
信徒の幸せをレアナー様は心から喜ぶし、私達もそれを見るとやっぱりやる気になる
イベントはこれからだけどうまくいくと良いな
料理足りるかな?ケーキも作っているが基本はパンとシチュー・・・それと鹿肉とイノシシ肉と熊肉
ミルミミスさんとシーダリアさんがいつの間にか狩りまくってきた
ドヤ顔で持ってきたがそういえば元杉神官もヨーコも『狩りは基本』っていう考えがあったし説明し忘れていた
北海道出身の人が熊の被害に困っているって言っていたし、うん、まぁいいのかな?
夜空に浮かぶ謎の熊の群れの写真がSNSに流れてきたのは確実にミルミミスさんの仕業である
陸斗さんからの連絡によると徳田さんが独身者の集まりに紛れて帰ってこれたようで良かった
大学の講義の内容は全く頭に入ってこなかったが先生は理解してくれているし、先生もこの後レアナー城に来るので問題はない
講義も終わってガヤガヤし始める、一瞬で私の周りに集まる人
廊下を見ると彼氏・彼女のいない勢が私待ちをしている
ガードの人が廊下にいるというのに恐れもしないのは必至さを感じる
お前らその辺に彼氏彼女のいない奴らが近くに居るよ?
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