第392話 クリスマスの騒がしさと愛の告白


イベントって良いものだと思う


緊急で賊や魔物が襲って来て対応しなければいけないわけでもなく、災害で家をなくすようなものでもない


何をしたって人は傷つくことはあるけど、死ぬわけじゃない、平和なイベント


城に帰ってきたはるねーちゃんたちを確認する


ちょっと緊張する



<がんばるのですぅ>



ちょっとレアナー様?封印しますよ?


ひゃーと言いながら飛んでいくレアナー様


僕も日本に帰ってきてから少しは成長したのだ


日本語の勉強をして結構読み書きも出来るようになってきた


ショッピングセンターの前の看板を書いて成長を感じたものだ


相変わらず自分で読んでもぎりぎり読めるかなぐらいで汚いけどね


大阪と東京に【転移】してすごい人数が集まった


クリスマスってイベントは未婚の人達だけのものではない


信徒の家族向けの会場だってある、Gとアビゲイルはグレースと幸せそうにしているし信徒の関係者を会場に呼んで朗らかに過ごしている


この後は神官たちに任せる事になっている


いま着ているのは一番豪華な神官服で、青年の姿になっている


不思議と胸が締め付けられる


大丈夫、何度も見てきたし練習した



「はるねーちゃん、黒葉、ヨーコ、き、来てくれてありがとう」


「こんなところに呼び出して何よ?」



呼んだのは未婚のパーティ会場のど真ん中


人々がパートナーを探している中央


あぁ、心臓がドキドキと煩いな



「はるねーちゃん、黒葉、ヨーコ」



三人はイベントの空気を壊さないようにってことで神官の服ではなく私服のドレスを着ている



「異世界まで僕のことを助けに来てくれてありがとう」


「そんな、当然のことですよ?」



当然か、そうじゃないと思う



「当然じゃないよ、だっていくら大切な人でも大きな力でその縁は簡単に切れることがある、なのに助けに来てくれて本当に嬉しかったんだ」


「愛してる元杉のためなら火の中水の中ですわ!!」


「うん」



床に膝をついて【収納】から三つの小箱を出す



「僕も愛してる」



ふわふわして倒れてしまいそうだ


周りからキャーキャー聞こえる


異世界で多くの人と結婚をした、勿論この3人共ともだ


レアナー教の結婚は誰かを助けるために使うこともある



だけど僕にとってこの3人は特別でこちらではまだ結婚していない



はるねーちゃんに見守られ、黒葉に心配され、ヨーコに正面から愛を囁かれて、いつの間にか気になってしまっていた




「僕にとって3人はいつの間にか特別になってて」




美味しい料理を食べた時「これ、はるねーちゃんも好きそうだな、黒葉は苦手かも」なんてふとした時にそう思ってしまっている




「本当に大切に思ってるんだ」




まだ恋や愛だのが詳しくわかっているわけではない



だけどこうやって僕もなにかしたかったのだ



3人に向かって婚約指輪を差し出した



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