第370話 レアナー城高級レストラン
「ようこそいらっしゃいました、聖下、スタッフ一同心より歓迎しますわ」
大きな鉄板、濃い青色のコックスーツに身を包んだ料理人
城を改造しただけあって壁は石造りのように見えるが照明や置かれた植物が高級そうだ
結婚式を任せていた三上はとーさんたちとものすごく城の改造をしていた
プールや遊園地、結婚式場にレストランなどなど・・・どうやったんだろうか?
結婚式担当の三上、素晴らしい結婚式場を作り上げてくれたがそれだけではなかった
今では調理師免許もとってフグもさばけるらしい
「現在は信徒の数も増えましたし養畜や精肉も行っております、今のところ牛肉豚肉鶏肉の最上位のものをここでは出す予定ですが何処か食べたい部位のものはありますでしょうか?腕をふるって調理します」
話し方も上手いし仕事が出来る人だと思う
本人もすごく楽しそうで何よりだ
「肉だ!肉!!」
しかしダリアにそういうのは通じない
ダリアに悪気はない、肉に詳しくはないし肉の種類を選べるなんて貴族でも難しいのだ
それに向こうにも牛はいるけど牛は食べ物ではないしね、あいつら凶暴で大きいし怖いし肉自体不味いもん
いつものスープを飲める人は多いけど、向こうの牛肉は食べれない
「なんでも出来るの?」
「何でもは出来ませんが可能な限り対応いたします」
「歯ごたえのある肉はなにかないかい?歯が治ってから固めのものが食べたくてな」
「いや康介おじさんそれは流石に・・」
少し悩む三上に少し苦い顔をしたはるねーちゃん
なにか悪かったのだろうか?
「そうですね、もつ煮や牛すじはいかがでしょうか?前に言っていたホルモンのニンニク鉄板焼なんかも用意してありますよ」
「あるの!!?」
「ありますよ」
「遥ちゃん、ここは高級レストランに見えるけどそうじゃないからね、無茶振りしてみるといい」
「あ、そっか・・・じゃあ、私と洋介とシーダリアとせーにおすすめの肉で!」
「では、そうですね・・こちらをどうぞ」
はるねーちゃんが注文してくれた
僕とダリアとせーにも見せられたお肉
美味しいのだろうか?
「エンペラーブリアン、1頭から僅か1キロも取れないシャトーブリアンの中でも中央をよりすぐった最高の部位です」
ジュワーとお肉が焼かれている間に説明してくれる
ダリアもつまらなさそうにしてはいるけど鼻をひくつかせてから耳をピクピクし始めた
肉は肉のはずなのに、何故かそのお肉は大事に扱われているのがわかる
大きな鉄板に雉子谷の旅館にいた料理人さんたちも並んで料理して、別のテーブルでもお肉を焼いてくれている
我慢出来ないのか前のめりで肉に近づくダリアを僕とはるねーちゃんで抑えてなんとか完成したので食べてみる
口に入れる前から香りが違う
ナイフで切らなくてもフォークで切れるんじゃないかっていうぐらいに柔らかい
肉汁が口の中に溢れて、甘い
塩とコショウしかかけていなかったと思うんだけどどこか果物みたいな甘みがある
「うめぇな!!何殴ったらこいつが食えるんだ!!?」
「殴らないでね」
「おう!おかわり!!」
殴ったらってのは多分狩りをしたらって意味だろう
向こうで畜産できる獣にこんなにおいしい肉はない、あったら食べてたもんね・・・・・いや、貴族共なら隠れて食べてはいそう
「準備できますが他の部位もそれぞれ魅力ある品となっておりますがよろしいでしょうか?」
「んー!?これ以上だと?!あ、ありえねぇ・・・あ、あれか?俺を騙そうっていうのか?」
「ダリア、黙って、はるねーちゃんなにかおすすめは?」
「じゃあ、牛タンステーキで」
「かしこまりました」
せーちゃんは黙ってもぐもぐと食べていた
黒葉は・・・日本酒としぐれ煮、唐揚げとご飯を食べていた
「やっぱ三上さんの唐揚げサイコー!!」
「ありがとうございます」
三上さんに結婚式場のことや来客スペースのことは任せているし、しんちょくってのをきいてみる
この世界に元々あった結婚様式は出来るようだ
出来ないのは「銃による祝砲」と「狩猟を伴った結婚」これは日本の法律が許さないそうだ
それと宗教様式の異なる結婚や儀式やアトラクションの必要な結婚だそうだ
そういったものは出来ないが基本的な結婚はできるようになったし、ここの雰囲気を最大限引き出したオリジナルの結婚式も計画中だそうだ
三上さんは結婚式を開始すればそれらに専念する予定だそうだが料理も得意でこうやって練習している
昔バイトでやっていたそうで鉄板を使う料理はそこそこできるそうだ・・これでそこそこ?めちゃくちゃ美味しいんだけど・・・
僕も唐揚げを食べたけどこんなに桁違いに美味しいとは思って見なかった
もう一個頂戴
「酒も欲しい、肉に合うやつがいい」
「お客様は異世界の方ですよね、まずはこちらで定番の冷やしたビールなどいかがでしょうか?」
「ビールって言うと麦酒か・・?向こうじゃ珍しかったがこっちには多いのか?」
「ビールという選択はあくまで定番ですが、こちらの施設では最高のビールを注げる設備を準備しております、なかなか飲めるものではありませんしおすすめしております」
「よくわからんがそれで」
「私もー!」
「ぼくはジンジャーエールで!レアナー様にもビールください」
「はい」
お菓子は禁止のレアナー様だけどお肉はご飯だから食べてもいい
笑顔で<おいしーですぅ>と食べていて、嬉しそうだ
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