第369話 胸の騒ぐ平穏
『城にいた政府の人』と『着飾らせたヨーコ率いる聖騎士候補達』と『DM』の3つの手段で和解の条件を送った
-吾郷とは友達だけどこの件は別だよね?条件を読んで決めたら連絡ちょうだい-
ガンガンとメッセージと着信が吾郷から入ってきたけど返事を帰すとピタリとおさまった
「ど、どうしましょうか?」
「返事が来るまで警戒しつつ神殿業務!助けを求めてる人を連れてきて!」
これからどうしようかという不安そうな信徒の声
内心僕も不安だけど胸を張って少しだけ笑顔で答える
「大丈夫ですかね?ミサイルとか飛んできませんか?」
「それは大丈夫、だって・・・・・・・ダリアが居るからね」
ダリアは素手での戦闘に長けた英雄の一人
縁があって旅の仲間になったけど彼女たちは力不足だった
だから僕を通して神様たちがそれを見て、相性の良い神が彼女を気に入って加護を授けた
彼女は結界と断絶と激情の神である<トケタ・メクタ>の加護によって結界を作るのがうまい
だからここは心配がない
ダークエルフで、とにかく殴るしすごく目立ってるけどここの人と仲良くなってくれるかと心配だ
「ダリア、ありがとうね」
「・・・っ~~~!!急になんだ!?殴ってほしいやつでもいんのか!!?」
ダリアは意外と可愛い
2人でいる時に褒めると照れる
「なにかお礼したいんだけど何かある?」
「お前との子は・・まだ身体も安定してなさそうだしな・・・んー、んー、んー・・・殴る相手」
いつでも殴りたくなるね
結界だけではなく、そういう加護を授かったってのもあるだろうけどダリアはとにかくよく殴る
貴族がいれば殴ることもあるし仲間だって殴る、敵がいればなおのこと殴る
「いや、酒、は、いっぱい飲んだしな・・・・・・肉だ!肉!旨い肉が欲しい!!」
「なるほど、一緒に食べようか」
「おう!」
殴る相手と言われて少し身構えてしまったのが伝わったのだろう
慌てて肉と言ってきた
病気の新しい信者候補達は雉子谷に任せてる宿と麓の親戚がやってる民宿にとどまっている
まとめて連れてきてもらって、どんどん治す
信徒も増えて何よりだ
暴れる信徒用に拘束具でも作ろうかな?
でも聖騎士候補と神官見習いたちの練習になるし殴られるのもいい経験だと思う
城の外の土の上で結界を触りながらあぐらをかいているダリアだが肉はまだか肉はまだかと何度も言ってくる
「準備に時間がかかってるみたいだけど夜には食べれるからねー」
「はいはい、夜まで待とうねー」
「信徒たちに説明してるから後でね~」
神官や信徒たちにお菓子の差し入れをもらっているようだけどダリアは受け入れない
レアナー様もお菓子が好きだし城の中ではお菓子のやり取りは多い
だけどダリアはなかなか心を開かない
・・・・・きっと毒への警戒をしてるんだろう
酒も知ってる人か僕の関係者からしか受け付けていない
向こうで旅をしていて、食べ物を無条件にくれるなんて、殆どない
僕は勇者だったから、それとレアナー様が偉いからもらえることはあった
食べ物は希少品で高価で売ってくれないこともあるのにだ
それだけレアナー様への信頼と『勇者』である僕に希望を見出していたんだと思う
そうじゃないなら食べ物をくれるなんて普通なら毒入りで身ぐるみを剥がされて奴隷にされることもおかしくないからね
何度か自分で体験して人の悪意は本当に怖いと実感したよ・・・
僕は大抵治せるから大丈夫だけどダリアにそういう技能はない
お菓子を渡そうとしている信徒たちを睨みつけて受け取らないが・・・早くダリアが落ち着いてくれるといいな
こちらのお菓子は驚くほどに美味しいしね
深夜まで何人も治してやっと肉の時間が来た
流石に治療を待ってた人は多くてなかなか休めなかった
皆、戦の気配に眠れなかったからか止め時が分からなかったが黒葉が疲れて眠りそうだったので治療は止めた
次に治療をするのは朝
スタッフは通常の個室や大部屋に入ってもらって治療を求める人は牢獄エリアを改良した実験中の客室エリアに通した
この状況で外からくる人間を無条件に信じるほど僕も馬鹿じゃない
客室エリアで治療がしたいのだけどあそこは決められた魔道具しか使えないようにしているし設置した魔導具で治せるのは軽い怪我や痛みをわずかにマシにする程度で病気や手足、遺伝子の病気は無理だった
「肉ー!!」
「はいはい」
ダリアは僕を信頼してくれて、向こうの世界でも評判の肉を楽しみにしている
晩御飯美味しいといいなぁ
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