第350話 父さん達と母さん達


「あ、遥ちゃん、ここにいたんだ」


「父さんただいまー」




そうだよね、子供が大量にいてムキムキな関羽っぽい嫁ができたとか親にとっては意味不明だよね


洋介の説明も悪いけどあまり言葉を考えてもうまく伝えられないと思う


貴族だとか、領地だとか、孫とか、嫁とか、拉致されてたとか、洗脳とか、犯人が嫁・・じゃなかった、愛人になってにそこいるとかどれか一つでもパニックになってもおかしくない



・・・セーの愛人云々は黙っておこう



ただでさえ息子がガラッと変わってしまったら困惑するだろう


固まってる2人は反応がない、きっと脳が限界を超えたんだと思う



そうこうしてると父さんと母さんが来た



同じく説明する


セーや関羽を下がらせてマイルドに



「えっ!?隠し子かい?やるなぁ・・」


「ばか言ってんじゃないわよ!そんなの離婚よ離婚!!いくらようくんでもやっていいことと悪いことがあるでしょう!私が焼き入れてやる!!!どこにいんの!!?」


「エ、エシャロットっていいますおじいちゃん、おばあちゃん?!」



伝え方が悪かったのかもしれない、怒ってしまった



エシャロットちゃんがいてよかった



関羽と同じく武器や防衛設備を見について来たエシャロットちゃん


後ろにいたので前に引っ張って出す


可愛らしい顔に小柄で犬耳、これで少しは当たりが和らぐだろう


関羽とセー、ミルミミスにシーダリア、お前たちは刺激的だからダメだ


ミルミミスとシーダリアは後ろで酒盛りをしている



「ま、まぁ可愛い!」


「よろしくね?遥の父の春日井亮二です」


「私は春日井直子、よろしくね、おねーさ・・・おばあちゃんって呼んでいいのよ?」


「は、はい・・」


「どうしてようくんの子供になったの?」


「向こうの世界で拾って頂きまして・・・」



そういえば私はこの子の、養子となった子たちのことをそこまで詳しくは知らない


洋介の領地に来た人たちはみな同じではない


人によっては全く来た理由は違うらしい、ロムは洋介の師匠だからと自慢していたし


瘴気にさらされて国が滅んで食べ物もなく放浪し、害獣扱いされて殺されそうになっていたところを拾ったのが洋介らしい


ちょっと泣いた


いつの間にか話を聞いていた栄介おじいちゃんたちも泣いていた



「俺達のことはおじいちゃんって呼んでもいいんだからね!」


「苦労したんだね、ちゃんと食べれてるの?これも食べる?」



怒っていた母さんも泣いた


母さんは不倫や浮気は男女関係なく鉄拳制裁すべきという考えがあるっぽい


だけど食べれていない子供の話には弱いのだ


親にまともに育てられなくて食べられない子供なんかが居ると母さんは怖い


警察が来て捕まってもその親を説教するし警察官にだって怒鳴りつける


母さんが小柄な犬耳エシャロットちゃんにキャンディーを上げているのは娘としてほっこりする



「ただ、お父様とは結婚もしたんで関係がお父様って言っていいのかはちょっと困ってます」



あ、母さんがピキッてした



「好きに呼んでくれて大丈夫だよエシャロット」


「ありがとうお父様」


「ようくん・・・ようくん!?どうしたのそれ!?いい男になっちゃって!??何浮気して養子を嫁にもらってるのよ?!!浮気じゃないかこれ!」


「そうだぞ?!倫理観というものがないのか!!?」


「十二万人もいるってどういうことだ!」


「あらあら・・」



だめだ、まだ飲み込むのに時間がかかっているのにその新事実は早い


2人をつかまえて洋介を部屋の外に出るように促す



「洋介、レアナー様探してて、この4人をどうにかするから」


「わかった」



なんとか奈美とヨーコと一緒に説明していく


そもそもの価値観や風習が違いすぎる


領民は領主にとっては資源であって勝手に連れて行くなんて許されたものではない


それが瘴気に侵されたものでもだ


だからレアナー教では無理矢理にでも助けるために強引に養子にしたりもして、洋介も無理矢理にでも連れ去った


彼らを養うのに勇者としての稼ぎをかなり使った


結果として洋介はいくつもの領地を持っている




向こうで結婚したのは洋介が神様とかになってしまいそうだったから制度として協力したんだ


私達もしたけど


奈美が子供も使って撮影していたので結婚式の動画を見せることにした




結婚式はとてつもなく急だった


だけど洋介が少しずつ透明になっていったから「待った」はできなかった


頭の先や指先から光が出て、天使っぽくなってきたから心の準備なんてできなかった



「もう、しっかりしてよね」


「ごめんね、はるねーちゃん」


「んっ」



目をつぶって唇を少し上げたのに無反応



「どうしたの?」


「軽くでいいから軽くキスしなさいよ、結婚式でしょ」


「え?あ、そそそれ僕から!?は、ずかしいんだけども?!!」


「ん」



無視して目を閉じ、待っていると居ると慌てた雰囲気が感じとれた



「・・・・ん」



軽く、本当に軽く、羽が触れたかのようなキス、かと思ったら少しぶつかってきて痛い


下手なキスだなぁ


でも真っ赤な洋介に満足



「わぷ?!」



真っ赤になって、私よりも大きくなった洋介の頭をつかむ


私よりも大きくなるとは生意気な・・でもこれはこれでいい


引き寄せてほっぺにキスする



「大好き!心配させないでよね」



本当に嬉しい



奈美とヨーコも結婚して、後は基本流れ作業だった


ずらりと順番が並んでいてどんどんやっていく


1人ずつでは間に合わず、範囲結婚魔法なんてものを使っていたが・・・



まだ私たちは洋介と日本で正式に結婚したわけではない


この世界は多宗教で信仰は自由だ、多人数の結婚に寛容かというとそうではないが他の宗教のことなど知ったことか


レアナー様も愛を確かめる儀式は多くて困ることはないとかでレアナー教では毎年結婚をお披露目している人もいるほどだ


人助けのための養子達、結果たくさんいる領民達、洋介を助けるための結婚



・・・これでなんとか4人には納得してもらえないか?






「「「「・・・・・・」」」」





・・・・まだ飲み込めてないみたいだ、時間が必要かもしれない

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