第301話 答えは聞ける神に聞こう


私が徳田さんの家であの日の再現をして次の扉が開かれた


あの日のことは今でも夢に見る


きっとあの日はこんなに堂々とは元杉神官を止められなかったはずだ



病気で弱った遥と仲直りしたくて、希望を見せたくて、いろいろ調べて光るビルで出待ちしたんだっけ



藁をも掴む思いだったのに黒塗りの高級車に乗ったときなんてもう内臓売られる想像までして吐きそうになったからね



クリアできてよかった


門から門、大きな扉と扉の間に迷路がなくなって、今にも元杉神官が居ないかと期待してしまう


同時に聖王という元杉神官をさらった犯人が居ないかと身構えてしまう



次の問題は・・・日本語じゃないね


これまでは短かったのに今回は長文だ


私も勉強してきて少しは読めるようになってきたけど読んでもらおう



「ミーキュちゃん、読んでくれる?」


「はい!です!」



ヨーコルノリア・メレニ・フォプセ・ケメヌ・セセ・マリュニャロ・ガムボルト・マルディ女王陛下と洋介・元杉との出逢いはどれか?



「どれかってなんだろう?」


「選べるところない、です!」


「進めばわかるのかな?」



門は今までと違って模様もなく、なんのヒントもない


開けてみる



「お下がりください!!」



5メートルほどのゴーレムが左右の壁にずらりと並んでいる


関羽さんや隊員達が前に出る、けど、ゴーレムは微動だにしない


石像なの、かな?絶対動くよね?何かのギミックかな



「大丈夫そう・・・ですな」


「問題、読む、です!」



ゴーレムは動きもしないしゆっくりと部屋を調べる


4つある扉にはそれぞれなにか書かれている



赤い扉

-麗しきヨーコルノリア・メレニ・フォプセ・ケメヌ・セセ・マリュニャロ・ガムボルト・マルディ女王陛下が魔王軍デデスガによる小人種族の窮地に大勇者洋介に手紙を送り、邂逅した-


青い扉

-ガムボルト・マルディ女王が魔王討伐の旅で領土内の山中で迷子となっていた洋介聖下を助けたのが始まり-


白い扉

-元々は敵同士であり、洋介が助けようとしたところを攻撃し、熱い夜を過ごした-


緑の扉

-醜悪にして巨大なトロールキングを打ち倒し、荒らされた小人国に持てる財を全て差し出し、王のあまりの美しさから求婚した-




「誰か答え知ってる人いる?」



なにか違和感を感じる問題だけど何がおかしいかはわからない



「俺知ってる!この扉だ!」

「何いってんだよ?馬鹿だなお前は、こっちの扉だ」

「某が聞いた話はこちらですな」


「いやいや・・なんで別れてるのよ・・・?」



別れてしまった、しかも全員バラバラ


遥かがツッコんだけど皆自分の回答が正解と疑っていない


白い扉だけは誰もいない



「白い扉は違うの?」


「ヨーコルノリア先王陛下が敵対していたとは聞いたことがありませんな」



要約すると赤の扉は『ヨーコが魔王軍の問題で元杉神官に手紙を送ったのが出会い』、青の扉は『ヨーコが迷子になっていた元杉神官と出会った』、白は『ヨーコと元杉神官は敵対していた』、そして緑が『トロールを倒して復興を手伝ってヨーコの美しさから元杉神官は求婚した』だ


自信を持ってこれが正解だと考えている人になぜかを聞いてみると旅芸人や吟遊詩人からの情報らしい


話はバラバラだけどどの話も美談であったそうだ



「チーテック、わかる?・・・そう」


「チーテック様はなんて?」



遥はチーテック神に聞いたようだ


そういえば元杉神官の旅の仲間にもチーテックの神の加護を持つ人がいるとは聞いたことがある


なら知ってるのかも?



「しらんって」


「私も聞いてみるね<サシル様答えはどれかわかりますか?>」


< 答 え は 白 い 扉 で す ね >



すごく大きな声で脳に直接響いた


金槌で頭を殴られたほうがマシだろう



「うるさっ?!」


<すいません、コホン、その迷宮はレアナーの力も私の力も多く使われていますので少し大きく聞こえたかも知れませんね>


「え、もしかしてここまでも質問してたら答え教えてくれました?」


<いえ、この話はたまたまレアナーと見ていたので知っていただけです、とんこつらーめんや先ほどの学び舎の問題は私でもわかりませんでしたよ>


「そうですか、ありがとうございます」


<気をつけるのですよ、今度とんこつらーめんも食べてみたいです>


「はい、わかりました・・失礼します」



よかった、聞いて答えががわかっていたのなら学校や道で落ちまくったのは無駄ではなかったようだ


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