第247話 「あぁ神よ」<呼びました?>


歩いてミルミミスさんと荒野を進む


ミルミミスさんには一度竜になって空を飛んで人の居そうな場所を確認してもらった



「村や町はありましたか?」


「キュルルルル」


「ミルミミスさん?」



竜の形態では話しにくいらしく、すっと人の形に戻った


全裸ではない、ポンチョ型の大きなかっぱ気に入ったみたいだね


でもさっき竜の形態の時にはなかったよね、そのポンチョ・・・・・元杉神官の【収納】みたいなものかな



「向こうと向こう」


「どちらが近いですか?」


「あっち」


「では私達が飛んできた元の方向は分かりますか?」


「あっち」



指さされた方向はほぼ真逆


人里が近い方向は飛んできた元の方向だ


あのポンコツな空飛ぶ魔道具はどこに私達を送るつもりだったんだろうか?


進行方向を考えると発射元の方向の人里に向かうよりもこの先に進むべきなのか?


元の方向に移動するということは敵に回ったレアナー様の手の届く場所に近くなることになる



元杉神官はきっとそのレアナー様の関係者のもとにいる



神様たちの場所である聖域はレアナー神聖教国の最も奥だと聞いた


あの近くに元杉神官はいたのかもしれない



いや、そうとは限らないか



レアナー教はとてもメジャーな宗教らしいし国も大きい


全く別の場所、外国の可能性だってなきにしもあらずだ



「遥たちはなんで離れたの?」


「落ちたから」


「落ちたのはあのダメ魔道具の不具合?」


「違う」


「ではなんでですか?」


「結界にぶつかって穴が空いた」


「なるほど」



レアナービルにも結界の魔法がかけられている


元杉神官の魔力で起動し、レアナー様の及ぶ範囲であれば害をなそうとするものを退けられる


一度ダンプカーが突っ込んできたことがある、が、ビルは全くの無傷だった


そういう魔法がかけられていたのかもしれない



「は、遥たちは大丈夫そうでしたか?」


「うん」


「良かった・・・」



つまり交通事故のようなことになったのだろう


私もそこにいて無傷であるということはそれもなにかの魔法が効いていたはずだ


きっと遥達は大丈夫だ



「遥たちが落ちたのはどっちですか?」


「向こう」



つまり考えられる位置はこうなる


地面に描いて整理する



目的方向←私達←遥達←聖域



この順番なのだろう


さすがにこの荒野が最終目的地ではないと思う



「遥達と人の居そうな場所だとどっちが近い?」


「人の居る場所」


「なるほど」



目的方向←私達←人のいる場所←遥達←聖域


ほぼ直線でこの順番となる


問題はこれから私たちはどちらに進むべきか


ヨーコの考えていた目的地がこの先なのか?それとも遥達と合流するべく戻る方が良いのか?



「ヨーコの目的地は知ってますか?」


「知らない」


「どっちに行けばいいかわかりますか?」


「わからない」


「・・・・・」


「・・・・・」



あぁ神よ!どちらに行けばいいので<呼びましたか?>


「ワッツ!!!??」



びっくりして少し飛び上がってしまった



<サシルですよ、どうかしましたか?>


「えっとサシル様?どこにいますか?」



周りを見ても誰もいない、ただ脳内に直接声が響いてくる



<思念が薄いです、言葉ではなく思い浮かべて下さい>


いや、サシル様の位置が問題ではない、問題は今どちらに進むべきかだ


<どちらに進む・・なるほど、最後に決めるのは貴女です>


そうですよね!?使えないな!!?


<使えないとは酷いですね>


ごめんなさい!でもここからどっちに行けば良いのか、すごく困ってパニクってます!


<なるほど、貴女の魔力からしてあまり長く話せません、よく聞きなさい>


はい!サンキュー!神様!だめだ変なこと考えちゃいます!すいません!!


<まぁ、良いでしょう、今回はレアナーが迷惑をかけていますからね>


はよっ!じゃない、すいません!


<少し読み取りましたがあなたの味方となる存在は戻った場所にいるでしょう、そこで仲間を集うと良いかと>


逆に進みとどうなります!?参考程度に!


<あちらでは・・・きっと監禁されるでしょうね>


ありがと神様愛してる!じゃない!ありがとうございますぅ!!


<貴女はもう少し考え方も落ち着いて行うべきですよ、そうそう、レアナーがババロアというものを自慢してきました、お供えをお願いしますね、それが今回の対価です>


え?かねとるの?じゃない、お金じゃないし、すいません、こういうのになれてないんです、こういうってのは思考を読み取られるってことです、大好き神様!だからYURUSHITE!許してください!


<まぁ良いでしょう、貴女に加護を与えたのは私ですからね!わ た し ですからね?ババロアはよろしくお願いします>


はい、(*ノ-ノ)キャー恥ずかしー!!!??


<では、貴女の旅路が良きものとならんことを>


ありがとうございますっ!旅じゃないですしババロアぐらいちゃんとお供えしますけどありがとうございます!


<ふふっ、楽しみです>



魔力がごっそり減ったがそれよりも情報が得られてよかった


いつも元杉神官はレアナー様と面と向かって話していたけどこういうのもありなんだ


最近、私はいらないことを言ってしまうことが減った


話すときに言いたいことを纏めて、一拍置いてから話せばいい



・・・・・・・・・だけど思考でいらないことを言ってしまう癖ってどうやって直せばいいの?


まぁ行き先は決まった


発射された方向、人里に近いほうだ

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