第195話 牢獄のアンケート


起きるといつもと違う部屋だった


いつもと違うベッドの上にいて部屋にはそれだけしかない


あとはドアだけ


期待に胸が痛いほどに高まる



本当に、本当に妻と娘に会えるのか?



久しく会っていない、娘は大きくなっているのだろうか?学校でいじめられてないか?


ポケットの中のラムネはそのままだ、グレースは喜ぶかな?



嬉しくもなるが少し胸も痛い



手紙のつもりはなかったのにこうやって俺の手紙が手紙として行ってしまい、こんな危険な場所にあの二人は来てしまったのか?巻き込んでしまったのだろうか??


怖い思いをして来たんじゃないか?


しかし妻子に会うというのは直接ではないかもしれない、ビデオチャットかも



服を整え、部屋を出る


また部屋だ


窓もない、いつもの壁だけしかない石造りの部屋


あるのはもう一つのドア、それといつもと違って木製の机と椅子それに紙とペンがある


素直に椅子に座って紙を読む



『このアンケートには正直に答えてください。』


『このアンケート内容は妻子と会うのには影響しません。』



もう嘘をついたりする気持ちはない、正直な気持ちを書く




1.牢獄での暮らしは快適でしたか? YES/NO




NOだ、NO!NO!!NO!!!


あんな生活が快適な訳はないだろう!!!??


思わずペンを握る手に力が入る




2.牢獄での生活によってあなたは更生できましたか? YES/NO




更生はどうだろうか?人を騙したり情報を得るためには何でもしていたこれまでの人生に比べれば出来たのかもしれない


更生の定義がわからないがここではそういう仕事をしない分まともになったのかもしれない


少なくともレアナー教に敵対する気は全く無くなったのは確かだ


YESに「?」と書き込み丸をつけた




3.あなたはもとの仕事に戻りますか? YES/NO




NOだな、ここでの情報を持って組織に行ったとしても信じられないだろう


魔法のあるこんな地獄に入れられたんだ、残りの人生を検査で終える可能性だってある


ここの生活よりも悪い


下手したら解剖コースだ


それにここにアビゲイルもグレースも来ているのなら人質を取られたようなものだ


いや来ていなくても2人とレアナー教が連絡を取り合っているのなら2人の身の安全のためにも元の生活に戻るなんて選択肢はありえない




4.あなたはもとの仕事において人質を取られているか? YES/NO

5.あなたは借金をしているか? YES/NO

6.あなたには妻子以外に大切な家族はいるか? YES/NO

7.あなたには戻るべき故郷はあるか? YES/NO

8.あなたは妻子を愛していますか? YES/NO




どんどん書き込んでいく、妻子と書いているのは俺のためだけのアンケートなのだろうな




9.あなたは今までの仕事を辞めてレアナー教にその身を捧げることは出来ますか? YES/NO



YESにペンを向け、ペンが止まる


レアナー教が本物であるとは体験した


悪魔教のように残虐な被害を出すようなこともない、人を癒やす良い宗教だ


俺1人だったら間違いなくYESと書く


だけど家族のことが頭をよぎる


「家族のためであるなら」そうかいてYESに丸をつける


正直な回答だ、だがこの回答は管理者を怒らせるかもしれないな




10.9にてYESと答えた方への質問です。あなたはそのために隷属を受け入れますか? YES/NO



れいぞく、つまり奴隷になれるか、ね


俺1人ならと書いてYESに丸をつける




11.9にてNOと答えた方へ質問です。その理由を空きスペースに書いてください




よし、これでアンケートは終わりか・・・


いよいよ家族に会える、のか?

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