第53話 初めてのまとも(?)なお客様


「すいませーん、大人1人シングルでー」


「え?なに?」



鍵かけてなかったっけ?いや、さっきコンビニスイーツってのを買いに出てたんだった


今何時だろ・・・3時?



<なんかすごく疲れてる気配がします・・?>


「女神様?」


「部屋案内してくださいよ~」


「はい」



入ってきたのはくたびれたスーツの女の人だ


ボサボサの髪にくっきりと目の下が黒く隈が浮かんで、目が虚ろだ、ものすごいお酒臭い


うちの女神様信仰してくれるのかな?


案内したのは掃除したばかりの小部屋で休憩用のベッドと布団をおいただけの部屋だ



「わーせまーい、ねー、聞いてくださいよ~、ここすわってー」


「はい、えっ?」


<酔っ払いですぅ>



買ってきたばかりの真新しいベッドに布団のセット、サラッと心地よくて思わず触ってしまう


言われたとおり座ると膝の上に寝転がってきた



<わー、この人ボロボロですぅ>


「課長が酷いんですよ~安い給料で残業時間が300時間もあるんですー、ざんぎょーってわかる~?働いた後にまだ働くんですよ~」


「大丈夫ですか?水いります?」


「いらなーい!それより聞いてくださいよ~、課長がひどいんですよ~私飲めないのに飲ましに来て~奥さんいるのに~新入社員連れ込もうとするんですよ~」


「だめだこりゃひゃいっ?!」


「すべすべ~」



短パンで寝てたのに顔を太ももにスリスリされた後にお尻を揉まれた



<この人、今にも死んじゃうんじゃないですぅ?>



神様は基本的に自由だが人の生き死にだってあまり口を挟まない


こういうときはその人がよっぽど神様のお眼鏡にかなっている証だ



ほっておけば朝には死ぬかもしれない



今も「課長が酷い」って全く同じ話を3度4度と繰り返している


くすぐったいので動くのやめてほしい



「うっんっ・・お願いがあるんですけどいいですか?」


「いーよー、おねーさんなんでも聞いちゃうよ~」


「うちの信徒になってくれますか?」


「わかったー!でもー、かわりにー、おねーさんのおねがいきいてよー?」



信徒ゲットだ!


うちの方針ではよっぽどの悪人以外ならこうやって信徒を獲得することもある


複数の神を信仰することなんてよくあるし、うちの信徒にしてしまえばある程度色々と融通がきく



「じゃあ~・・・・」



【治癒】の魔法を浸透させてわかったがこの人は体の中の内臓がぼろぼろだ


何をどうしたらこんなに体の中を痛めつけられるんだろうか?


治癒がよく効いた結果なのかもしれない、このおねぇさんはこの後すごかった


ハグさせてー、着替えてー、猫耳つけてー、メイドになってー、なでてー、肩揉んでー、おべんと作ってーなどやりたい放題だった



抱きつくだけならと思ったが着替えに神様が食いついた



収納に良い着替え持ってないしって言ったら収納の中に入った神様が何処かから色々出してきた、ほんとに色々と・・・


着替えた僕は恥ずかしいのにパシャパシャ写真もとられるし、このビルは魔力が溜まってるからか彼女にも女神様が見えてるのだろうか?


なんか意気投合してた



「スイパラ!時代はスイパラですよ~」


<へ~どういうのがあるのですぅ?>


「なんでも!すっごくいいんですよぉ~」


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