第17話 絶望


-ごめん、俺書けないわ-



辛い治療の後にこれを見て自分の目を疑った



-なんで?-

-ねぇ-

-連絡ちょうだいよ-



既読はつくのに返事は来ない


急ぎすぎたかな?話の持って行き方が悪かった?嫌な感情が渦巻いて嫌になる



「失礼しまーす」


「え?真莉愛さん?」



もう暗くなってきて面会時間ギリギリだ


誰もよんでないのに真莉愛さんが病室にヒョイッと入ってきた



「遥に話したいことがあってさ」


「なに?」


「春樹のこと」



なんだろう、聞きたくない





「あのさ、私がもらったから」





春樹のことを聞くにしても本人から・・・・・




「・・・・・・・・・は?」


「春樹の彼女になったから、じゃーね?これおみまい」










意味がわからなかった



悪い夢だったんじゃないか?そう思って寝た



寝て起きると母さんがりんごをスプーンで差し出してきた



「起きた?すりおろしたから少しは食べなさい?」


「う・・ん・・・」



りんご・・りんご?


こくんと一口飲み込んで急いでスマホを見る


真莉愛からメッセが34件


ゼミの友達からもいっぱい



-春樹のことは私のほうが先に好きだった-


-あの癖っ毛を直すのは私の役だし、あんたが褒めてたあの服選んだのは私、似合うよね?-


-だいたいその顔で婚姻届?春樹が困るってわかるじゃん?馬鹿なの?-


-春樹も大学生なのに彼女がやらしてくれないとか辛いよねー?-


-ほらこれ、春樹にもらったプレゼント-


-ゼミでも私達付き合ってるって言ったし-


-そもそもそんな状態なら身を引いて当然だよね?-


-あ、そういえば4年上る前の旅行は春樹と楽しんだから-


-二股女は消えてよ-



二股とかなにそれ


見たくない、こんなの見たくない



-二股してたの?サイテーじゃん-


-もう話しかけないで-


-真莉愛さんに聞いたけどストーカーはよくないよ-


-婚姻届とかキッモ-


-売春してたんだって?俺と今度どう?-



誤解だって送っても



-このアカウントはブロックされています-



って帰ってくるのが大半だ、私の個人アカウントにもメチャクチャなメッセージが届いてる



「どうしたの?」



新しく、真莉愛からメッセが届いた


見たくない、見たくない見たくない見たくない!


震える指先でメッセをタップする








春樹と真莉愛の裸の写真


それと



-じゃーな糞女-



の一言








それを見てひどく吐いたと思う




お医者さんが来て、ぼーっとメッセを読んでいく


ふと奈美に何も考えずにメッセを送る



-婚姻届のこと、誰かに言ったの?-


-いってないけどどうかした?-



すぐにメッセが返ってきた


この袋叩きに関わってない?学部が違うからまだ伝わってない?



-断られてさ、それどころか私悪者になってるっぽい-


-なにそれ?だけど遥にはもっといい人がいるよ-



何かが胸から湧いてきた


もう感情が止められなかった



すぐに電話をかける



「ラストチャンスだったんだ!もう、私には時間がないのに!!!みんなして私を悪者にしてさ!もっといい人がいる!?じゃあ連れてきてよ!ねぇ!!!」


「・・・ご、ご、ご、ごめん、だけどさ、まえからあの二人腕組んだりしてたし」


「は?え?なにそれ?」


「前に遥にいった、よ?あの二人仲良すぎないかって」


「伝わるわけっ!無いじゃんっっゴホッうぇっ!!!」



もう感情のままに罵詈雑言を浴びせたと思う


切る前に震える声で「ごめん」って聞こえて最悪だった


何やってんだろ私

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