第8話
8話
「はぁはぁ」
俺はおじさんがやっていた踊りをほとんど真似することで一曲ダンスをし終えた。
だが、俺が思っていたよりおじさんのダンスはハードだったようでもやしのように細い俺にとってはきついところがあった。
そんな地に伏したような状態の俺であるが、真似しただけのダンスなのにすごく楽しかったと興奮していた。
初めてのダンスで、結構の無茶振りだったから、嫌な記憶になってほしくないなと思っていたが現実は真反対であった。
なんで、そんなに楽しかったのか?なぜ、そんな体力が切れるまで踊ったのか。
ものすごい単純であった。
音にハメて踊るのが気持ちよかったのだ。丁度いいタイミングで踊ると、カチッとハマったっ様に曲に合わせられたダンスになる。
その感覚が、たとえ真似したダンスであろうと、楽しかった。
「・・・そんなヘトヘトになるまで踊るなんて、根性あるな。それに、ちゃんとリズムを取って踊ることができていたな。」
「昨日教えてもらいましたから。」
ダンスのリズムのとり方は色々あるが、その中でも有名で基礎的なのがオンカウントとエンカウントというリズムのとり方だ。
2つあって、めんどくさく思ってしまうかもしれないが、意外と簡単である。オンカウントはよく表だとか言われるが
1 2 3 4と区切っていあるといえばいいんだろうか、そんなリズム。反対にエンカウントは裏のリズムと言われることもあるが。
さっきの1 2 3 4の間にあるリズム。
1&2&3&4&という感じで、エンカウントの間にあるリズムだ。これはダンスをやる上で結構大事みたいで、昨日教えてもらったのだ。
「それにしても、身体的な面でできていない部分はあったが・・・なにかコツを掴んだのか?」
「コツ・・・というのかわからないですが、おじさんがやっていたダンスを真似したんです。そしたら上手く行って。」
これがコツなのかはわからない。だけど、真似をしたら上手くできたのは事実だし。
「・・・真似をしようとしてもここまで出来るやつはいないんだけどな。」
まあ、今回はうまくハマったというか。このステップが俺に合っていたのかもしれない。
「まあ、真似をすることはいいことだ。上手くなるために真似をするのは誰でもやったことがあるしな。
ダンスには自分を出していけ!ってその人だけの個性を出そうと練習するやつもいるが、それはうまくなってからやらないと意味ないしな。」
あーたしかに、ダンスって自由だから・・・だからこそ自分だけにしかできないダンスっていうのもありそうだよな、
でも、今回ダンスをやってみてわかったんだが、俺には自分を表現できるほどの技術が全然ないんだなって。
今回だっておじさんのダンスを真似ただけなのに。もし、真似をしなかったら、多分ダンスの途中で何をしたらいいかわからなくなってとまっちゃうきがする。
「まあ、上手い人は自分だけのダンスっていうのをわかっているやつが多いからな。・・・それは武器になるし、それを磨くのは大いにわかる。」
「おじさんにもその武器?はあるんですか。」
その話を聞いて気になってしまったのだが、指導を出来るほどうまいおじさんは武器を持っているのか?
・・・昨日おじさんはロックが好きだとか言っていたが・・・ロックをやっている理由はその武器がロックと相性が寄っかったとか。
「俺にか?もちろんあるぞ。・・・俺は動作の一つ一つが綺麗なんだってな。」
「きれい?」
「たあだ、綺麗なだけだとおもったら大間違いだぞ。よくあるんだが、上手くなって行くほど技を崩してしまう傾向があるんだ。確かにそっちの方が味が合ってカッコ良かったりするのかも知れないが、崩しすぎて本来キッチリ出来ていた事がドンドン出来なくなってくるんだ。」
たしかに綺麗って言うのは見ていて分かりやすいと思うし・・・もし教える立場の人がその癖まみれだったら分かりずらいだろう・
「まあ、ダンスその崩すことで自分らしさっていうのは出てくるのかも知れないが・・・俺は手本になるような綺麗さがある。
綺麗って言うのは突き詰めれば武器になるからな、」
・・・すげぇ。俺には分からない事が多かったけど・・おじさんのダンスは確かに見やすかった。
「最初は崩しても上手く行くことは無いからな。まずはいい手本を見て学んどけ。」
「はい。」
いいな。・・なんか、自分らしさを出すために崩すのは分かったけど、その中でもワザと崩さないで練習していたら、それが個性になるなんて。
「んじゃあ、怪我もないみたいだし続けるか。・・・もう一回踊ってみるか?」
さっきと同じ条件でダンスをしないか?ということだろう。さっきのダンスは途中で転んでしまい、中途半端で終わってしまった。それがなんか賞以下不良になっている。
でも、おじさんが他の事を教えてくれるなら、それをやろうと思っていたけど・・・
「やりたいです。」
「OK、つけるぞ。・・・スタート。」
さっきは綺麗とか丁寧とか考えないで適当に技をつなげる事しか考えていなかったからな。・・・それでもつなげる事が出来ずにl転んでしまったけど。
だから、ちゃんとつなげられるようにまずはステップを丁寧にやってみよう。おじさん程出来るとは思わないけれど、それでも最初は変な癖が付かない方が良いらしいからね。
まずはさっきと同じでスキーターラビットからツイストでスク―ビードゥーにつなげよう。・・出来るだけ綺麗に。
さっきみたいに曲にハマる事だけを考えて踊っても綺麗にはならないだろうから、今は体の事も考えなければ行けない。・・なのだが、曲と体の事を考えると、キャパオーバーなのか上手く体が動かない。
曲に合わせる事が出来ないし、体が綺麗に動いた感じがしない。
体のどちらかに斜めってしまったり、足を置く場所が前すぎたり。
これをスムーズに出来るのは経験なのかな?何て思ったりしていしまう。
「顔が下を向いているのはみっともないぞ。鏡を見ながら踊ってみろ。」
かがみ?・・・あ、
俺の目の目の前にはデカい鏡があり、その鏡は俺の事を全て映している。その鏡を見て踊ってみると・・・今俺がやっているステップはおじさんとは違う部分が多い。足の降り方が甘かったり、上半身がブレブレだったり。
さらには、そもそも動いていない部分が合ったり。こんなのを踊って、おじさんをまねたなんて言っていたなんて、恥ずかしいったらありゃしない。
だけど、今の俺にはその「違う」部分を一気に治せる技術なんてない。だから、ひとつずつ治さなければ行けない。
「上半身は固定。」
だが、治そうとはしているが、一つ治したら他の部分がまた治さなければ行けなくなってしまう。
モグラたたきのようになってしまっていた。だから、治し方を変えようと。・・・脳みそが理解をしやすいように、声に出してみようと。
・・・勉強をする時、点検をするとき、どんな時でも、声に出した方が分かりやすく理解しやすい。
「膝を起点に蹴る。」
・・・・何か違う気がする。
何かは分からないけど、ちょっと固いと言いうか・・・おじさんと同じようにやっているはずなのに、同じようにはならない。
スキーターラビットもツイストでも、スク―ビードゥーでも。
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